無骨なだけじゃなくカッコイイ! 絶版クロカン珍車3選

近年、世界的に人気が高いSUVですが、その源流をたどるとクロスカントリー4WD車にたどり着きます。日本で1990年代に起こったRVブームの頃は、クロカン車が隆盛を極めていましたが、現在はほとんどが消滅。そこで、往年のクロカン車のなかでも、珍しいモデルを3車種ピックアップして紹介します。

今ではほとんどお目にかかれない? 往年のクロカン珍車を振り返る

 2010年代になって、急激に人気が上昇したのがSUVです。この人気は世界的規模で進行中であり、各メーカーとも次々と新型SUVを発売しています。

 このSUVの源流となったモデルはクロスカントリー4WD車で、文字どおり悪路走行に特化したクルマでした。

いま見てもかなりイケてる絶版クロスカントリー4WD車たち
いま見てもかなりイケてる絶版クロスカントリー4WD車たち

 国産クロカン車の代表的な存在といえば三菱「ジープ」やトヨタ「ランドクルーザー」シリーズが挙げられますが、かつては乗り心地や高速安定性、燃費の悪さから普段使いには不向きとされてきました。

 しかし、1990年代の初頭には「RVブーム」が起こり、クロカン車が大ヒットを記録。その後はより乗用車に近い現在のSUVへと移行し、今に至ります。

 そこで、隆盛を極めていた頃に販売していた珍しいクロカン車を、3車種ピックアップして紹介します。

●ダイハツ「ラガー」

コンパクトなサイズでスクエアなフォルムが秀逸だった「ラガー」(画像は欧州仕様)

 ダイハツは2019年11月にコンパクトSUVの「ロッキー」を発売。かつて同社がラインナップしていたクロカン車の名前が復活したことから、大いに話題となりました。

 そして、さらにもう1台のクロカン車が存在。それが1984年に誕生した「ラガー」です。

 ラガーは1974年発売のダイハツ初のクロカン車「タフト」の後継車としてデビュー。ラダーフレームのシャシに前後リーフリジッドサスペンションという、クロカン車としては王道の構造が採用されました。

 ボディタイプは全車2ドアで、車体後部が幌の「ソフトトップ」、FRP製の「レジントップ」、すべてスチール製ボディの「ハードトップ」の3タイプを展開。

 パワートレインは1種類のみで、エンジンは2.8リッター直列4気筒OHVディーゼルターボ、組み合わされるトランスミッションは5速MT、駆動方式はパートタイム4WDです。

 比較的乗用車に近いロッキーと、よりタフなラガーという2台のクロカン車が存在しましたが、1997年までに両車とも国内向けの生産を終えました。

 その後も欧州やインドネシアで販売が継続され、欧州では2002年まで、インドネシアでは2007年まで販売されました。

 なお、現在はロッキー、そしてタフトの名が復活しましたが、ラガーも復活するのではという憶測もあります。

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●いすゞ2代目「ミュー」

都会的なスタイルが印象的なクロカン車だった「ミュー」(画像は欧州仕様)

 いすゞは2002年まで国内で乗用車の販売をおこなっていましたが、その最後のモデルだったのが、「ビッグホーン」と「ミュー」という2台のクロカン車でした。

 1989年にビッグホーンのコンポーネンツを使い、斬新かつスタイリッシュなショートホイールベースの2ドアRV、初代ミューが誕生。

 機能を優先したかのように無骨な印象がったビッグホーンに対し、初代ミューは前後ブリスターフェンダーを採用するなど斬新かつスタイリッシュなフォルムで、それまでのクロカン車のイメージを覆し、RVブームという背景もあってヒット作になりました。

 そして、1998年には2代目ミューが登場。外観はさらに都会的なイメージとなり、ボディは2ドアでレジントップと、後部が開閉可能なソフトトップを継承しています。

 搭載されたエンジンは3リッター直列4気筒ディーゼルと3.2リッターV型6気筒ガソリンを設定し、駆動方式は全車パートタイプ4WDです。

 クロカン車としては洗練されたデザインの2代目ミューでしたが、登場した時にはすでにRVブームは終焉しており、初代ほどのヒットには恵まれませんでした。そして、前述のとおり2002年に生産を終了。

 現在は、アジア圏やオーストラリアで、ピックアップトラックの「D-MAX(ディーマックス)」をベースにしたミドルクラスSUV「mu-X(ミューエックス)」が販売されており、やはりスタイリッシュなクロカン車として人気となっています。

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●マツダ「プロシードマービー」

ロングホイールベースを生かした伸びやかフォルムが特徴の「プロシードマービー」

 現在、マツダは「CX」シリーズに代表されるSUVを主力商品としていますが、かつてRVブームの頃にはクロカン車をラインナップしており、1991年に発売された「プロシードマービー」です。

 プロシードマービーはピックアップトラックの「プロシード」(海外では「Bシリーズ」)のラダーフレームに、ステーションワゴンタイプのボディを架装する手法で開発。

 これは日産「テラノ」やトヨタ「ハイラックスサーフ」と同様でしたが、プロシードマービーで印象的だったのが、3000mmというロングホイールベースで、ボディサイズは全長4950mm×全幅1720mm×全高1800mmと長大でした。

 そのため、外観はグラスエリアが広くロングホイールベースを生かした伸びやかなデザインで、車体後部にはエアロパーツのようなルーフキャリアが装備されるなど、質実剛健なイメージよりも背が高くスタイリッシュなステーションワゴンといったイメージです。

 また、同様にロングホイールベースから広い室内空間を確保し、3列シート7人乗りを実現しています。

 搭載されたエンジンは2.6リッター直列4気筒ガソリン(後に2.5リッターに換装)と2.5リッター直列4気筒ディーゼルの2種類で、トランスミッションは4速ATと5速MTを設定。駆動方式は、全車パートタイム4WDです。

 プロシードマービーは広い室内から一定の人気を得たものの、テラノやハイラックスサーフほどのヒット作にはならず、1999年に生産を終了。より乗用車に近いSUVへとシフトしました。

※ ※ ※

 2021年8月2日にトヨタ新型「ランドクルーザー(300)」が発売され、大いに注目を集めています。

 現代のクロカン車はどれも快適な走りが可能になりましたが、一方でスズキ「ジムニー」や、2014年に期間限定で販売された「ランドクルーザー 70」といった昔ながらのクロカン車も高い人気を誇っています。

 クロカン車が持つ「本物」の機能美は不変であり、多くのユーザーには今でも魅力的に映るのでしょう。

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