新型「カウンタック」は2億6000万円! 「ミウラ・コンセプト」との違いとは?
ランボルギーニが「カウンタックLPI800-4」を発表したが、過去モデルをオマージュしたモデルを作ったのは初めてではない。かつて「ミウラ」をオマージュしたモデル「ミウラ・コンセプト」が存在したが、今回のカウンタックとは何が違ったのだろうか。
ランボルギーニの金字塔「ミウラ」と「カウンタック」
2021年8月中旬、「モントレー・カーウィーク」で中核をなすイベントとして開催されたふたつのクラシックカー・コンクール、「ザ・クエイル・モータースポーツギャザリング」および「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」において、アウトモビリ・ランボルギーニ社が世界初公開した「カウンタックLPI800-4」は、早くも全世界で自動車エンスージアストの話題を独占しているようだ。
「スーパーカー」というカテゴリー限定でなく、すべての自動車の歴史においてもアイコン的な名作となった元祖「カウンタック」が、2021年に生誕50周年を迎えることを記念してデビューしたLPI800-4だが、このニューカマーのもたらすセンセーションの傍らで、今から15年前にショーデビューを果たした、もうひとつのリバイバル版ランボルギーニを思い出した人もいるだろう。
2006年に発表され、現在ではサンタアガタ・ボロネーゼのランボルギーニ本社に隣接する公式ミュージアム「MUDETEC(Museo Delle Tecnologie)」に展示されている「ミウラ・コンセプト」である。
●スーパーカーの開祖、ミウラの完全再現を狙う
ランボルギーニ「ミウラ・コンセプト」は、2005年にランボルギーニ本社内で起案されたという「レトロ・コンセプト・プロジェクト」の第一弾として、2006年1月に開催された北米デトロイト・ショーにてワールドプレミアに供された。
このコンセプトスタディにおける最大のトピックは、やはり往年のオリジナル版「ミウラ」を忠実に模したボディデザインにあるというべきだろう。
現代的な20インチのホイールに合わせて若干のサイズアップが施されるとともに、ロングノーズのオリジナルよりは少々キャビンフォワード的なプロポーションとはなっていたものの、そのスタイリングはほぼ忠実にミウラを再現していた。
たとえば、有名な「まつ毛」もグラフィックに組み込まれた楕円形のヘッドライトや、左右ドア後方/サイドシル後部のエアインテーク、カンパニョーロ製マグネシウム・アロイをシンプルな意匠としたようなホイール、エッジの効いたショルダーラインを持つ一体型のリアカウル。そしてコーダ・トロンカに切り落とされたテールにテールランプの形状など、随所にモダナイズを受けながらも全体像はミウラそのものであった。
さらにリアエンドに取り付けられた「Miura」エンブレムは、オリジナルのロゴがそのまま引用されたものだった。
このコンセプトカーは、アウトモビリ・ランボルギーニ社の公式見解によると、2006年当時に同社のデザインスタジオを率いていた名匠、ヴァルター・デ・シルヴァ氏が、デザインワークを主導したことになっている。
しかし、当時の日本のさるスーパーカー専門誌の記事では、実際にミウラ・コンセプトのデザインを担当したのは、1998年からランボルギーニのデザイン部長の地位にあり、2005年夏に同じVWグループの「セアト」に移籍したルク・ドンカーヴォルケ氏の可能性が高い旨を記している。
デ・シルヴァ氏とドンカーヴォルケ氏のグループ内人事異動と「レトロ・コンセプト・プロジェクト」の発表がほぼ同時期であることから、ミウラ・コンセプトは元来ドンカーヴォルケ氏が起案したものをデ・シルヴァ氏が手直し、もしくは再デザインしたとみていたのだ。
たぶん、その見方に間違いはないだろうが、その一方でデ・シルヴァ氏にとってランボルギーニ・ミウラの復活が非常にチャレンジングな体験であったこともまた、間違いのない事実だったことだろう。
こちらも当時の専門誌の報道によると、デ・シルヴァ氏は「この2年間、ミウラの再デザインを手がけられたら……と、なんども夢に見てきました。いま、ランボルギーニ社デザイン部門ディレクターという私の新しいポジションと、ランボルギーニ社CEO、ステファン・ヴィンケルマン氏の熱心なサポートのおかげで、夢が現実のものとなったのです」と語ったという。
●夢と終わったレトロ・コンセプト・プロジェクト
ところが、デ・シルヴァ氏や世界中のランボルギーニ愛好家たちの熱望をよそに、ミウラ・コンセプト計画はキャンセルの憂き目を見る。
さらに、往年のランボルギーニのマスターピースたちを現代に甦らせることを目指し、成功のあかつきには「エスパーダ」などの復刻も考えられていたという「レトロ・コンセプト・プロジェクト」も、具現化されたのはこのミウラ・コンセプト一回きりに終わってしまったのだった。
日産Zもこういう、そもそも昔のデザインの再現性の高い感じにデザインしてくれればよかったけどね!(S30型)