【単独インタビュー】ポンタス・ヘグストロム氏に聞くFCAとPSAの近未来(後編:新型車とEVはどうなる)
ショールームで試して欲しい、個性的でバラエティに富んだ8つのブランド
──ずっと自動車業界一筋だと記憶しているのですが、自動車業界以外で働いてみることをお考えになったことはないのですか?
「ありますよ(笑)。実際にほかの分野の会社からお誘いをいただいたこともあります。ただ、どうしても“それって自動車より面白いかな?”と考えてしまうんですよ。そうなると“やっぱり自動車がいいな”というところに戻ってしまうんです。好きとか嫌いということも含めて、誰もが関わりを持っているのがクルマという存在ですからね。それにユーザーの方やディーラーとの結びつきという面においても、喜びがとても大きいんですよ」
──現在、愛車にしているクルマは何ですか?
「今はアルファ ロメオの『ジュリア・ヴェローチェ』です。それに妻のクルマとしてフィアット500のコンバーチブルがあります。少し前の限定車、『500Cドルチェヴィータ』ですね。私はオープンカーが大好きなんですよ。カンパニーカーとしてラングラーの電動トップに乗っていたこともあります。妻のクルマも、ドルチェヴィータの前はアバルトの『695Cリヴァーレ』でした。必ずわが家にはフィアットかアバルトのオープントップのクルマがありますね」
──今後は何がガレージに加わりそうですか?
「それは、まだわかりません(笑)。ただ、どのブランドでもいいから、EVには一度きちんと乗ってみたいと思ってます」
──これから導入されるフィアット500のEVになる可能性が高そうですね(笑)。
「さあ、どうでしょう(笑)。でもフィアット500のEVは、今のところ世界で唯一オープントップが選べるEVですからね。本当に楽しみにしています。家に置いておきたくなるクルマになるでしょうね」
──これまで乗られてきたなかでもっとも記憶に強く残っているクルマは何でしょう?
「これもまた難しい質問ですね。カンパニーカーも含めれば、本当にたくさんのクルマに乗ってきましたから。どのクルマも気に入っていたので、1台に絞るのは本当に難しいんですよ。なので、ちょっと意図とは違うかもしれないのですが、思い出に強く残ってるということで申し上げると、アルファ ロメオ「8C」です。2009年に日本で『8Cコンペティツィオーネ』をローンチしたときにそれをサーキットに持っていったところ、お客様で1934年か1935年製の『8C』を持ってこられた方がいらしたんです。それを運転させていただきました。そのエンジン音にはしびれましたね。加速も物凄かった。あれは絶対に忘れることはできませんね」
●今後もサプライズを続けていく
──社長が今後も自動車と関わっていくなかで、何か挑戦したいこと、どうしてもやり遂げたいことがありましたら、教えてください。
「私ひとりで成し遂げたわけではありませんけど、FCAの皆と一緒に私達のブランドを誰も想像しなかったようなレベルまで引き上げてくることができたのは、大変誇りに思っています。例えばアバルトは、今や日本が最大の輸出国です。ジープの『ラングラー』は、北米市場を除けば日本がトップマーケットです。ジープの販売台数は、この10年で10倍どころか15倍まで伸ばすことができました。私達の全てのディーラーは利益を生みだし、皆さん、このビジネスをしていてよかったと心から思ってくださっています。本当に誇らしいことです。そして自分自身に対してもスタッフに対しても、消費者の皆さんに対しても、人々を驚かし続けるということをぜひ続けていきたいと思います」
──最後に、個性的な8つのブランドを愛するユーザー、そしてVAGUEの読者にメッセージをお願いします。
「日本には9つの自動車メーカーがあって、私達には8つのブランドがあります。日本の自動車メーカーに匹敵するぐらいの個性的なブランドを、私達は持っているわけです。けれど日本の自動車メーカーと比較すると、私達の販売台数は限られています。私達の品揃えもすごく幅が広くて、コンパクトなクルマからレーシングカーのようなクルマ、電気自動車、プラグインハイブリッド、ガソリン、ディーゼル、マニュアルトランスミッションだってあります。それらをまだまだ限られた方にしか体験していただけてないのは、本当にもったいないことだと思うのです。日本の皆さんには、ステランティスのキラ星のように輝くクルマ達をどんどん試しに、ショールームに足を運んで頂ければと思います」
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