「水素カローラ」のレース参戦も話題! 最近また水素が注目されてきた理由とは

このところクルマを動かす燃料として、にわかに水素に注目が集まっています。もちろん2014年に登場したトヨタ初代「ミライ」など以前から燃料電池車(FCV)はありましたが、EVシフトが進む欧州をはじめとした海外でもいま、ふたたび水素が脚光を浴びつつあります。こうした時代の流れはどこからきているのでしょうか。

水素を燃料とするクルマは水素自動車と燃料電池車がある

 自動車を動かす燃料として、水素がにわかに注目されています。

 ここでは、燃料として水素を用いる自動車の特徴や、水素が脚光を浴びている理由などについて、わかりやすくご説明しましょう。

2021年7月30−31日におこなわれたスーパー耐久レースinオートポリス(5時間レース)にORCルーキーレーシングから参戦した、水素エンジン搭載のトヨタ「カローラ」
2021年7月30−31日におこなわれたスーパー耐久レースinオートポリス(5時間レース)にORCルーキーレーシングから参戦した、水素エンジン搭載のトヨタ「カローラ」

 水素を自動車の燃料として使う方法は、大きく分けてふたつあります。ひとつは、内燃機関(いわゆるエンジン)の燃料として水素を用いる方法。もうひとつは燃料電池に水素を供給して発電し、この電力でモーターを駆動する方法です。

 ここでは前者を水素自動車、後者を燃料電池車(FCV)と呼びます。

 水素自動車は、一般的なエンジン車の燃料を水素に置き換えたものと考えられます。その研究はすでに1970年代に始まっており、日本では武蔵工業大学(現東京都市大学)やマツダ、海外ではBMWが熱心に取り組んでいました。

 最近ではトヨタが富士24時間レースに水素自動車で挑んだことも記憶に新しいところです。

 水素は、たとえエンジンで燃焼させてもCO2を一切発生しないことで知られています。その意味で、将来のカーボンニュートラル時代にぴったりの燃料ですが、水素自動車を量産化する動きはそのほとんどが止まっているようです。

 理由のひとつは、水素は火がつきやすいため、高温化したエンジン部品に触れただけで意図しない燃焼(異常燃焼)が始まる恐れがあること。さらに、長い距離を走るのに必要となる水素をクルマにどう貯蔵するかという問題もあります

 いずれも克服が不可能な課題ではありませんが、たとえ実用化できてもコスト高になるなどの事情から、量産化にはまだ長い道のりが必要になると考えられています。

 もうひとつのFCVは、すでにトヨタ「ミライ」やホンダ「クラリティ」が発売されているほか、韓国のヒュンダイも「ネッソ」を発表しています。クラリティは先ごろ年内で生産が終了するとの発表がありましたが、ホンダはこれに続くFCVの開発を現在、進めている最中だそうです。

エネオスの水素ステーションでのトヨタ新型「ミライ」の水素充填
エネオスの水素ステーションでのトヨタ新型「ミライ」の水素充填

 FCVの心臓部である燃料電池は化学反応によって電気を起こす、いわば発電機です。その発電効率は30〜40%とされますが、これでも現状の水素エンジンよりは高効率で、このため水素自動車に比べると車内に水素を貯蔵するハードルは低いとされます。

 最大の課題は燃料電池そのものが高コストなことですが、これも技術が熟成されれば、ある程度まで低コスト化が進むと期待されています。

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