電動化加速でガソリンスタンドは無くなる? 多様化ニーズに合わせた生き残る術とは

近年、世界中で「カーボンニュートラルの実現」かつ「脱純ガソリン車(ディーゼル車)」の動きが加速しています。そうしたなかで、街中で見かける機会が多いガソリンスタンドですが、クルマの電動化が進むにつれ、ガソリンスタンドはどうなっていくのでしょうか。

ガソリンスタンドは、どのように変化してきた?

 カーライフに欠かすことのできない存在なのがガソリンスタンドです。しかし、電動化が進み、将来ガソリンの需要が大きく減った際に、ガソリンスタンドはどうなってしまうのでしょうか。

今後のガソリンスタンドはどうなっていくのか?
今後のガソリンスタンドはどうなっていくのか?

 資源エネルギー庁の発表によれば、2020年3月末時点でのガソリンスタンド(サービスステーション)の数は、全国で2万9637店となっています。

 単純計算で1都道府県に630店あまりとなり、コンビニエンスストア業界2位のファミリーマートと、3位のローソンを足した数に匹敵します。

 このように表現すると、非常にたくさんのガソリンスタンドが世の中に存在するように思われます。

 しかし、実際にはガソリンスタンドの数は年々減っており、例えば、2016年3月末時点から見ると、2020年3月末では2696店のガソリンスタンドが閉店しています。

 こうしたガソリンスタンドの減少傾向は、クルマの燃費効率の向上が大きな原因のひとつといわれています。

 すでに新車販売の30%以上がHV(ハイブリッドカー)となっている昨今、かつてに比べてガソリンの消費量そのものが減少しており、それにともないガソリンスタンドの需要も減少しているのです。

 とはいえ、現在でもほとんどのユーザーが、日常的にガソリンスタンドで給油をおこなっています。

 しかし、来たるべき電動化の時代が訪れ、世の中のほとんどのクルマがEV(電気自動車)やFCEV(燃料電池車)などとなった際、ガソリンスタンドは不要となってしまいます。

 具体的な時期についてはさまざまな議論がなされていますが、クルマの電動化は既定路線といって間違いないでしょう。

 そうなったとき、ガソリンスタンドはわれわれの生活のなかで、どのような位置づけとなっていくのでしょうか。

 ガソリンスタンドの主要な機能は、当然のことながら、ガソリンをメインとする石油精製製品の販売です。

 しかし、前述のとおり、燃費の向上によってガソリン自体の消費量が減少しているため、ガソリンの販売だけでは先細りしてしまいます。

 また、ガソリンの販売だけでは成り立たない大きな理由がもうひとつあります。

 ガソリンスタンドにおけるガソリンの仕入れは、少数の石油元売会社に対しておこなわれます。

 石油元売会社は、産油国から原油の買付をおこないますが、原油は先物取引の最たるものであり、さまざまな事情によって日々値段が変わります。ガソリン価格が一定しないのには、そうした事情があるのです。

 そして、基本的には、ガソリンスタンドの違いによるガソリンの質に、体感できるほど違いはありません。

 そのため、ライバル店に負けないようにするためには、ガソリンスタンドの利益を減らし、価格を下げるといった値下げ競争がおこなわれやすくなります。

 ライバル店よりも安価な価格でガソリンを販売し、そのうえで利益を生むためには、原価を下げるしかありません。

 しかし、ガソリン価格の仕入れ値を下げることはほとんど不可能なため、人件費などを下げることになります。

 そこで、2000年頃からコスト削減を目的としたセルフ式のガソリンスタンドが普及するようになりました。

 ただ、セルフ式ガソリンスタンドが一般的となった昨今では、「セルフ式=安い」というイメージも薄れつつあります。

 これは、もはやガソリンを販売することだけでは、ガソリンスタンド経営は成り立たないということを意味しています。

 このことから、一定の集客の見込める都市部や幹線道路沿いのガソリンスタンドでは、ガソリン以外のものの販売に力を入れるようになりました。

 バッテリーやワイパー、タイヤといった消耗品の点検をおこない、必要があればその場で購入・交換ができるといったサービスをおこなうガソリンスタンドが増えました。

 また、コンビニやカフェを併設し、単なる給油のための場所ではなく、休憩や買い物スポットとしての機能を持たせるガソリンスタンドも登場しました。

 さらに、近年では、車検の実施やレンタカーサービス、個人向けカーリースの販売など、カーライフに関わるあらゆることをガソリンスタンドでおこなえるように進化しつつあります。

 多機能化したことで、「ガソリンスタンド」という呼び名から「サービスステーション」という呼び名に変化しつつあるのは、ガソリンスタンドのこうした変遷が背景にあります。

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1件のコメント

  1. ガソリンスタンドの閉店や廃業は、地方ではすでに始まってます。
    自動車の燃費向上以外にスタンドの貯蔵タンクの検査や維持、
    年数を経るとタンクの交換に多額の費用が掛かるので、
    それが賄えないから、閉店・廃業ということになるのです。
    もとは、ガソリンスタンドで、ほかの用途に使われている建物は結構見られます。
    そのために、ガソリン以外の農業用の軽油や家庭用の灯油が確保できなくなるという問題があり、
    地域のJAや自治体が、新規に開業をしている場所もあります。
    ガソリンスタンドは、単に普通の車のためだけに燃料を供給しているばかりだけではなく、
    農業用機械の燃料や地域の家庭用の灯油の供給も行っていることを知ってもらいたいものです。

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