やり過ぎはカッコ悪いと紙一重? 超絶ゴツいエアロ車3選
エアロパーツはレースの世界で誕生し、1970年代には市販車へとフィードバックされて普及し、今では定番のドレスアップアイテムになりました。そこで、かなりゴツいエアロパーツ装着車を、3車種ピックアップして紹介します。
ド派手なエアロパーツ装着車を振り返る
クルマに装着されるエアロパーツは、空気抵抗の低減やダウンフォースの発生を効果的におこなうことで、燃費性能、走行安定性、旋回性能などの向上に寄与する機能パーツとして開発されました。
もともとは飛行機の技術を応用してレーシングカー向けに誕生し、1970年代には市販車にもフィードバックされ、1980年代には一気に普及して、今では各メーカーとも標準で装着するほど定番化しています。
一方、エアロパーツは高い速度域でこそ有効なため、公道で出せる速度では期待できる効果を発揮しないというケースもあるようです。
しかし、クルマの外観を迫力あるフォルムに変貌させるドレスアップアイテムという面では、エアロパーツは大いに魅力的ではないでしょうか。
そこで、かなりゴツいエアロパーツ装着車を、3車種ピックアップして紹介します。
●スバル「インプレッサ S201 STiバージョン」
スバルが世界ラリー選手権(WRC)に本格参戦するため、1992年に誕生したのが初代「インプレッサ WRX」です。
実際にWRCへ出場した際には、スバルテクニカインターナショナル(以下、STI)が車両製作をはじめサポートをおこない、その後、STIの技術力を使って数多くのコンプリートカーが登場しました。
なかでも、初代インプレッサ WRXをベースに2000年に発売されたコンプリートカー「インプレッサ S201 STiバージョン」(以下、S201)は、かなり斬新なボディのモデファイが注目された1台です。
S201のコンセプトは、ラリー=ダートをメインに走行するイメージのインプレッサに対し、オンロードでの走りを追及。
外観は、グリル一体式のフロントエアロバンパー、ボンネット上の大型エアスクープ、砲弾型ドアミラー、サイドスカート、ダブルウイングリアスポイラー、ディフューザー形状のリアエアロバンパーなどが装着され、ノーマルの面影が無いほどの迫力あるフォルムに変貌しています。
エンジンは2リッター水平対向4気筒ターボ「EJ20型」をベースに、専用ECUと吸排気系の変更により、最高出力はノーマルから20馬力アップの300馬力まで向上。
足まわりには車高調整式サスペンションと、ピロボールのアーム類が組み込まれ、オンロードに特化したセッティングによりダイレクトなハンドリングを実現しました。
S201は限定300台で販売され、当時の価格は390万円(消費税含まず)と、モデファイの内容の割には比較的リーズナブルといえるでしょう。
●三菱「パジェロ エボリューション」
かつて三菱もスバルを最大のライバルとしてWRCに参戦していましたが、それと並行して「パリ-ダカール・ラリー」に代表されるラリーレイドにも積極的に取り組んでおり、クロカン車である「パジェロ」をベースにしたマシンで戦っていました。
パリ-ダカール・ラリーでは、総合優勝を含む好成績を収めることでパジェロのイメージアップが図られ、1991年に登場した2代目パジェロは、ラリーで裏打ちされた性能やブランドイメージの高さから、RVブームをけん引するほどの大ヒットを記録。
さらに1997年にはパリ-ダカール・ラリー用マシンのベース車として、「パジェロ エボリューション」が誕生しました。
パジェロ エボリューションはショートボディをベースにチューニングされたモデルで、全長4075mm×全幅1875mm×全高1915mmと巨大なボディには数多くのエアロパーツを装着。
4輪には大型のオーバーフェンダー、大型フィン付リアスポイラー、ステップ付サイドエアダムを装着し、専用デザインの前後バンパーなどエボリューションの名にふさわしい迫力ある見た目を演出しています。
エンジンは最高出力280馬力を発揮する3.5リッターV型6気筒自然吸気ガソリンを搭載し、トランスミッションは5速MTと5速ATを設定。駆動方式はパートタイム式とフルタイム式の両方の特徴を併せ持つ「スーパーセレクト4WD」を採用しています。
ほかにも車体剛性のアップとアルミボンネットによる軽量化や、ラリーで戦うこと前提にサスペンションも新開発の前輪ダブルウイッシュボーン、後輪マルチリンクの4輪独立懸架が採用されました。
パジェロ エボリューションは1998年のパリ-グラナダ-ダカール・ラリーの市販車改造クラスに参戦し、総合で1位から3位を独占する成績を収めるなど、実戦で大いに活躍しました。
●日産「シルビア オーテックバージョンK’s MF-T」
日産「シルビア」は国産スペシャリティカーの先駆け的存在で、1988年に発売された5代目(S13型)では、FRのスポーツクーペというだけでなく、秀逸なデザインからデートカーとしても人気となり、大ヒットを記録。
そして1994年に登場した6代目(S14型)では、トップグレードに220馬力を誇るハイパワーなターボエンジンを搭載するなど、スポーツカーとしてのポテンシャルが高められました。
この6代目シルビアをベースに、日産の特装車などを製造するオーテックジャパンが、1997年に「シルビア オーテックバージョンK’s MF-T」を製作。
シルビア オーテックバージョンK’s MF-Tは、S14型の後期型の「ツリ目」モデルがベースで、外観では専用フロントバンパーにサイドステップ、さらに最大の特徴が、そびえ立つような大型リアスポイラーの採用で、S14型が迫力あるフォルムに変貌。
内装もホワイトメーター、MOMO製スポーツステアリングなどを装備し、専用の生地を採用したシートやドアトリムによって、特別な1台に仕立てられています。
この見た目にふさわしく、エンジンは専用のターボチャージャー、大容量のインタークーラー、専用ECUなどでチューニングされ、最高出力250馬力を発揮する2リッター直列4気筒ターボ「SR20DET型」が搭載されました。
シルビア オーテックバージョンK’s MF-Tは限定モデルではないコンプリートカーとして販売されましたが、ベース車のモデルチェンジのためわずか1年ほどで生産を終え、今ではかなり貴重な存在です。
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エアロパーツを装着したクルマはカッコイイ見た目ですが、重量増や空気低能の増大による燃費の悪化など、ネガティブな面もあります。
また、サーキット走行での効果を期待する場合でもダウンフォースに代表される空力バランスが重要で、むしろ操縦性が悪化するケースもあります。
エアロパーツは魅力的なアイテムですが、くれぐれもやり過ぎには注意が必要です。
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