今春話題のアニメ「スーパーカブ」を見て感じた疑問…なぜ山梨県の高校性は原付き通学が認められているのか?
4月からスタートした新アニメ「スーパーカブ」。両親も友達も趣味もない、何もない日々を過ごす女子高生(小熊)がふと見かけた中古のスーパーカブを買ったことで、ちょっとずつ短調な毎日が変わっていく様子を描く物語となっています。作中で、主人公(小熊)はスーパーカブに乗って当たり前のように学校へ登校しているのですが、そもそも高校生が原付きで登校することに違和感を感じる方は多いのではないでしょうか。
なぜ山梨県の高校生は原付き通学が認められているのか?
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ABEMAから発表された、2021年4月より放送されている新作アニメ“初速ランキング”のコメント数部門で2位にランクインしたアニメ「スーパーカブ」。
アニメ公式サイトは4月29日、「TVアニメ『スーパーカブ』作品舞台探訪についてのお願い」と題した文章を掲出し、「作品舞台である山梨県北杜市にお越しいただく際には、学校、お店、また近隣住民の皆様へのご迷惑とならないよう節度ある行動、及びマナーに十分心掛けていただきますようお願い申し上げます」と呼びかけるほど多くのファンを抱える人気作品となっています。
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作中では、主人公(小熊)がスーパーカブに乗り通学するシーンが多々でてくるのですが、高等学校で原付き通学が認められているのはめずらしいのではないでしょうか。そもそも、なぜ原付き通学が認められているのか?理由は、公共交通機関の利便性が悪く、原付きでないと通学が難しいからです。
現在、山梨県は主な路線電車が4つしかなく駅から学校までが遠い、運行時間の間隔が長い、学校が山の中腹にあるなど通学面で様々な問題を抱えています。さらに、バスなどの公共交通機網が整備されていないこともあり自転車等で通えない生徒に関しては、原付通学が認められています。
山梨県教育庁によると山梨県の県立高校は全日制が28校。在学者数は2020年8月末日現在、1万6290人で28校中26校では原付の免許取得を容認しています。加えて、規制なしが6校で条件付き許可が19校(残り1校は新しい学校なので条件未定)とのことです。また、県立高校の全日制全体で1942人の生徒が原付免許を保有、うち1642人が原付通学。7校ある定時制高校では自動二輪車の利用も認めているところがあるといいます。
全日制に限れば、在学者数に占める原付免許保有者の割合は約12%ということになり、原付通学が許されている生徒は約10%に上ります。高校生に限らず、原付き取得者数を各地域の人口で割り算し、“免許取得率”を求めると2015年から2019年までの5年間で山梨県は3回トップにランクインしています。
薄れゆく三ない運動とバイクブーム再来の予感
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三ない運動とは、高校生によるバイクならびに自動車の運転免許取得や車両購入、運転を禁止するため、「免許を取らせない」、「買わせない」、「運転させない」というスローガンを掲げた日本の社会運動です。
1980年代のバイクブームに伴って増加した交通事故件数、全国各地で増えた暴走族による危険走行により「バイクは危険な乗り物、暴走族の乗り物」といった、バイクに対する否定的なイメージが助長され社会に広まったことをきっかけに、日本各地の高等学校で盛んに実施されていました。
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本田宗一郎さんは「教育の名の下に高校生からバイクを取り上げるのではなく、乗る際のルールや危険性を十分に教えるのが学校教育ではないのか」と当初から異論を唱えていたように、この運動がバイク業界に与えた影響は大きく、日本の二輪車市場はピークであった1980年代に比べて、現在は10分の1程に減少しています。
1991年に三ない運動は撤廃されましたが、このような考え方が現代においても根強く残っているのは事実です。
現に、山梨県の高等学校では原付き通学を認めているケースがほとんどですが、全国的に見ると免許取得すら認めていない学校が大半を占めています。田舎で公共交通機関が整備されておらず、家から自転車で通える範囲の学校しか選べない。交通の便がないという理由だけで、自分のいきたい学校にいけないのはつらいことでしょう。
親に学校まで、車で送り迎えをしてもらうという選択肢もあるかもしれませんが、三年間でかかる時間と労力は計り知れません。バイクに乗らなければ危険な事故は起こらないという学校側の言い分は理解できる一方、危険な可能性があるという点だけに固執するのはいかがなものか。
交通事情に詳しい専門家は、次のように話します。
「三ない運動は撤廃されましたが、当時の名残が高等学校に残り続けているのは事実です。
高校生のバイク事故は、他の人身事故に比べクローズアップされがちですが、自転車通学でも多くの事故が発生しています。自転車通学の講習マナーは、授業のひとつとして初めに生徒に指導することが大半ですが、バイクに関してはそのような土台がつくられていないのが現状です。バイクは危険であり、高校生に乗せるものではないというイメージが妨げになりこういった問題提起すらあがってこないのです」
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アニメ「スーパーカブ」は、三ない運動のような古き慣習、昔からあるバイクに対するイメージを払拭する作品となるのでしょうか。
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アニメ「スーパーカブ」では、バイクに乗り始めたばかりの初心者がやりがちな失敗やあるあるが数多く登場します。そのため、これからバイクに乗ろうと考えている方や初心者ライダーにとってもためになる作品と言えるでしょう。
提供:バイクのニュース
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