「ヘルメット=カッコイイ」がカギに? クルマの安全どうつくる 識者が議論【Merkmal】

新技術はユーザーの正しい理解が重要

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 交通事故を防ぐためには、安全に対する意識とともに、技術の進化も欠かせない。

 新しい技術は、その基準作りとユーザーの要望とのいわば二人三脚の関係で発展していくが、高橋信彦氏(日本自動車工業会安全技術・政策委員会車両安全部会長)は、「基準」は協調領域、「要望」は競争領域で分けられると指摘。「個人的には」と前置きしたうえで、日本におけるクルマの自動運転の研究開発はうまく回っていると分析する。

「2020年11月にホンダ『レジェンド』が、世界で初めて自動運転レベル3の型式指定を取得したのが良い事例」との猶野氏の評価を踏まえ、春日氏は「新しい技術は、ユーザーにしっかり理解してもらう責任がある。都合の良い面だけでなく、機能や性能の限界やできない部分も伝えることが必要」と主張する。

 高橋氏は「1、2年に一つは新しい技術が出て来ている。ユーザーに理解してもらうためのコミュニケーションが課題だが、それとともにHMIもセットで議論していくことが大事」と述べた。

「HMI」はHuman Machine Interfaceの略で、人と機械が意思や情報を伝えるための手段や道具を指す。

 理解しやすいようにどのような工夫をするのか、「人は間違える」ことを織り込んだうえでどのようにシステムを設計するかが問われるという。

 鳥塚俊洋氏(JAFメディアワークスメディア事業本部ITグループ部長)は、クルマの新技術について、多くのユーザーが宣伝広告や新聞、雑誌から知識を得ているとしたうえで、「これらでいかに正確な情報を伝えるかが大事。短く分かりやすい言葉が頭に残る」と説明した。

 中野公彦氏(東京大学生産技術研究所次世代モビリティ研究センター教授)は「予防安全技術や自動運転の研究開発は、交通安全に間違えなく寄与している」としたうえで、「そういった意味では事故データを可視化して、人々に効果を理解してもらう必要があると思っている」と、新しい技術を広く説明していくことの重要性を訴えた。

 春日氏は「日本だとヘルメットは格好悪いとされがちだが、欧米では格好良いとされる。ある種の心理的な攻略と言えるが、正しい道筋であれば、その方向に心理的に導く攻略は今後重要になると思う」と説明。

 日本ではまだ例の少ない「心理的攻略」が、今後、安全の啓蒙や自動運転の社会的受容などの面でカギになると述べた。

提供:Merkmal
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