もう二度と出ることはないかも? メーカーのイメージから離れた車5選

各自動車メーカーにはそれぞれの「個性」があり、なかには特定のジャンルのモデルのみを販売するメーカーがあります。一方で、数多くのジャンルをラインナップしながらも、特定のモデルから撤退したというメーカーも存在。そこで、メーカーのブランドイメージとは離れたユニークなモデルを、5車種ピックアップして紹介します。

今では消えてしまった異色のクルマを振り返る

 世界中にある自動車メーカーには、それぞれの個性や「色」が存在します。たとえば、ジープはSUVに特化したメーカーで、フェラーリはスーパーカーしかつくっていません。

ブランドイメージとは離れたユニークなクルマたち
ブランドイメージとは離れたユニークなクルマたち

 さまざまなジャンルのクルマを生産しているメーカーでも、かつては販売していたけれど今は撤退したというモデルも存在。

 そこで、メーカーのブランドイメージとは離れたユニークなモデルを、5車種ピックアップして紹介します。

●メルセデス・ベンツ「Xクラス」

しっかりとメルセデス・ベンツ流の高級車に仕立てられていた「Xクラス」
しっかりとメルセデス・ベンツ流の高級車に仕立てられていた「Xクラス」

 メルセデス・ベンツは誰もが認めるプレミアムブランドですが、大型のバンやトラックといった商用車の生産にも力を入れています。

 そして2018年には、メルセデス・ベンツ初のピックアップトラック「Xクラス」が発売されました。

 Xクラスは、日産のピックアップトラック「NP300 ナバラ」がベースで、当時、ルノー・日産アライアンスと共同開発されたダブルキャブボディのモデルです。

 単にNP300 ナバラのエンブレムを変えるような手法ではなく、内外装はメルセデス・ベンツ流のデザインを反映。

 おなじみの「スリーポインテッドスター」を掲げるフロントフェイスや、インパネまわりも独自にデザインされ、ピックアップトラックでありながら高級感を演出しています。

 搭載されたエンジンは2.3リッター直列4気筒ディーゼルターボ、2.3リッター直列4気筒ディーゼルツインターボ、3リッターV型6気筒ディーゼルターボの3種類で、一部地域に向けてはガソリンエンジンも用意されました。

 駆動方式は4WDと2WDがあり、レジャー用途ではなく純粋に荷物を運ぶ商用車として使われる「ワークメイト」も設定。

 しかし、Xクラスは商業的に成功したとはいえず、発売からわずか2年ほどの2020年に生産を終えてしまいました。

●ロータス「エラン」

優れた性能のモデルながらFFだったことがネックとなった「エラン」
優れた性能のモデルながらFFだったことがネックとなった「エラン」

 イギリスのロータスといえば誕生以来スポーツカーの販売に特化したメーカーで、直近ではEVとともに最後の純粋な内燃機関のモデルを発売するとアナウンスされて大いに話題となっています。

 これまで数多くのスポーツカーを世に送り出してきましたが、そのなかでも異端な存在として知られているのが、1990年に発売された2代目「エラン」です。

 初代エランは1962年に誕生した小型FRオープン2シーター(後にクローズドボディを追加)のスポーツカーで、鋼板製バックボーンフレームにFRP製ボディを架装し、軽量な車体にパワフルな1.6リッター直列4気筒DOHCエンジンを搭載したことで優れた走行性能を発揮。欧州だけでなくアメリカでもヒットしました。

 1975年まで生産されて一旦は消滅したエランですが、前述のとおり1990年に復活。

 初代と同じくバックボーンフレームに、スタイリッシュなFRP製ボディを架装したオープン2シーターモデルで、エンジンはいすゞ製の1.6リッター直列4気筒DOHCを搭載し、ターボと自然吸気を設定。5速MTのトランスミッションもいすゞから供給されました。

 そして、2代目エラン最大の特徴は、ロータスが生産するクルマで初のFFだったことです。

 足まわりは4輪ダブルウイッシュボーンを採用し、ロータスの手によるセッティングから優れたハンドリングを実現。新世代のFFスポーツカーとして高く評価されました。

 しかし、伝統的に後輪駆動のクルマを製造してきたロータスがFFを採用したことは、昔からのファンにとっては納得がいかないほどの出来事で、さらに価格も高額だったことから販売は極端に低迷。

 結局、1995年にエランの生産を終了し、その後のロータスは現在まで二度とFF車をつくることはありませんでした。

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●ボルボ「P1800」

美しいフォルムのクーペでボルボのモデルをイメージさせない「P1800」
美しいフォルムのクーペでボルボのモデルをイメージさせない「P1800」

 ボルボのクルマというと、現在ではSUVとステーションワゴンが主力となっており、どのモデルも力強さと美しさを兼ね備えたデザインが特徴です。

 しかし、ひと昔のボルボ車というと、無骨なデザインから質実剛健で高い安全性能を誇るというのが、多くの人が抱くイメージだったのではないでしょうか。

 ところが、さらに昔に遡ると、美しいデザインのスポーツカーが存在。それが1961年に登場した「P1800」シリーズです。

 外観はイタリアのスポーツカーをイメージした伸びやかで低いフォルムの3ドアクーペで、エンジンは当初車名のとおり1.8リッター直列4気筒OHVを搭載。最高出力は100馬力を発揮しました。

 また、ボディバリエーションはクーペのみでなく、ステーションワゴンタイプ(シューティングブレーク)やオープンカーのコンバーチブルも設定されています。

 このP1800は、イギリスのテレビドラマ「セイント 天国野郎」(原題:The Saint)で主人公が乗るクルマとして有名になった逸話がありますが、主人公は後に3代目ジェームズ・ボンド役となったロジャー・ムーア氏で、自身の愛車だったそうです。

 美しいスタイルの異色のボルボ車であるP1800は1972年に生産を終えましたが、今も人気が高く、日本でも愛好家が存在します。

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