タイヤ工場に巨大恐竜出現!? 横浜ゴムが廃タイヤで恐竜を作った理由とは
老舗タイヤメーカーである横浜ゴムの尾道工場にある、廃タイヤで作られた巨大な恐竜のオブジェのクオリティがスゴイと、ツイッターなどのSNSで話題となっています。いったい、どんなオブジェなのでしょうか。
制作のきっかけは90'S工場自慢運動と恐竜ブーム
「ADVAN」などのブランドを手掛けるタイヤメーカー 横浜ゴムの尾道工場にある、廃タイヤで作られた巨大な恐竜のオブジェのクオリティの高さが、ツイッターなどのSNSで話題となっています。そんな大迫力の恐竜オブジェは、どのような経緯で作られたのでしょうか。
尾道工場にある恐竜オブジェは、アパトサウルス(ビックリー君)、ステゴサウルス、ティラノサウルスの3体です。
アパトサウルスが作られたのは1993年12月で、タイヤの使用本数は124本。全長は21m、高さが8.5m、重さは30tを誇ります。そしてステゴサウルスが作られたのは1994年10月で、使用タイヤの本数は77本。全長9m、高さ5.5m、重さ6tと、こちらもかなり巨大。ティラノサウルスが作られたのは1995年5月で、使用タイヤの本数は76本。全長15m、高さ6.5m、重さは7tとなっています。
そんな大迫力の恐竜オブジェたちは、当時全社的な活動として90’S工場自慢運動という話がきたことで、尾道工場でアイデアを募集し、当初はタイヤで塔を作る話が進んでいましたが、恐竜ブームだったことから、品質保証課が提案した恐竜製作が採用されたそうです。
製作に携わった人員は約30名。まずは図面を作成し、建築会社に強度計算を依頼した後、100年は大丈夫と太鼓判を押されことで製作がスタートしました。
そして全社からORタイヤ(OFF THE ROADタイヤ)以外のタイヤを収集。実際は、ORタイヤも使用されていますが、それは尾道工場でORタイヤを製造しているためだそうです。
その後、基礎工事や事前のタイヤカットをおこない、タイヤを製造するときの加硫プロセスにおいて使用する、タイヤを内部から金型に押し付けるために風船のように膨らませるゴム製の副資材、使用済みブラダーで頭、背びれ、コンパウンドで尻尾を作り加硫して固める作業がおこなわれました。
基礎のH鋼をベースに骨格を組み合わせた後は、事前にカットしたタイヤをクレーン車で嵌めこみ、仕上げられたそうです。
制作担当者は苦労した点として、タイヤカットが通常のカットとは異なり、機械で切れないのですべて手作業だっただめ、体力に限界があったことや、骨格が図面どおりでも、タイヤは変形し易く思いどおりに嵌らないため、組んだ上で細部をカットする作業を繰り返したこと、除幕式の日程が決められており、製作開始から1.5か月で製作したため、時間的にきつかったことなどと説明します。
そのため、製作は正直2度とやりたくないと思うぐらいしんどかったそうですが、「2頭目はいつですか」との質問を多く受け、結局3頭を制作したそうです。
一方で、製作してよかったと思う点については、全社的にかなり自慢できる出来栄えだったことや、作るのには相当苦労したが完成したときはみんなで涙するほどの達成感があったこと、力を合わせれば何でも出きると感じたことなどが挙げられ、花見シーズンには、過去には1日最大230人が訪れたこともあるようです。
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タイヤ製造会社として新しいタイヤを作り出す為に、テストが繰り返されるため、テストタイヤを処分するだけでなく、どうにか再生できないかと考え、製作されたという恐竜オブジェですが、地域の幼稚園や保育所の子どもたち、家族連れなどが遊びに来るようになり、いまではすっかり尾道の顔的存在。新型コロナ禍で、ステイホームが推奨される毎日ですが、気分転換に恐竜オブジェを楽しんでいる人も多いようです。
なお、開園時間は8時から16時30分となっています。
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