なぜタイヤ処分費が高騰? 中国政策の「ゴミ受入れ停止」の影響か
廃タイヤはどのように処分されているのか
そもそも廃タイヤは、どのような形で処分されるのでしょうか。
タイヤの処分後の行方について、一般社団法人日本自動車タイヤ協会(JATMA)は次のように説明しています。
――廃タイヤは処分後どうなるのでしょうか?
廃タイヤは原形加工利用や熱利用、海外輸出などによって例年9割以上(2017年93%、2018年97%、2019年94%)がリサイクルされています。
このうち、もっとも多いのが熱利用61%(2019年)で、製紙工場や化学工場、セメント焼成用の燃料として使われています。
2019年のリサイクル利用量は合計で96万6000トンと、前年より3万1000トン減少し、リサイクル率は94%と3ポイント下がりました。
製紙工場における使用量が前年と比較して4万4000トン減少しており、要因としてはペーパーレス化などの影響によって紙生産量が低下したことが考えられます。
――タイヤの処分費はどのように決まりますか?
廃タイヤは廃プラスチックと同様、そのままで代替燃料として利用することは困難なので、タイヤ販売店がユーザーから引き取ったあと、中間処理業者が切断又は破砕加工をおこないます。
その後、熱利用先(廃タイヤを燃料として使う業者)に売却されます。
ユーザーが負担する廃タイヤの処分費は以下の「A+B+C-D」のようになっています。
「A:販売店から中間処理業者までの輸送費」
「B:中間処理業者の切断/破砕加工費」
「C:中間処理業者から熱利用先までの輸送費」
「D:熱利用先の切断/破砕品購入費の合計金額」
では、近年の廃タイヤ処分費が高騰している要因には、どのような理由があるのでしょうか。前出のJATMAは次のように説明しています。
――近年、タイヤ処分費が高騰している理由は?
以前は、前述の「D:熱利用先の切断/破砕品購入費の合計金額」が非常に高かったのですが、化石燃料価格の安定及び廃プラ類のダブつきによるRPF価格※下落などの影響を受け、近年は大幅に下落しています。
結果的にユーザーが負担する廃タイヤの処理費は、その差額分として高くなっていると考えられます。
※RPFとは紙の材料としてリサイクルが困難な古紙と廃プラスチックを主な原料とした固形燃料のこと。石炭に代わる高性能な燃料として注目されている。
――廃タイヤに関して、今後はどうなるのでしょうか?
今後、コロナの影響がどの程度あるかは別にして、近年、国内の熱利用先では、毎年海外から10万トン弱の廃タイヤ(切断/破砕品)を代替燃料として有価購入(輸入)しており、この傾向は2020年も変わっていません。
つまり、「日本国内において廃タイヤの行き場が無い」ということは現時点では事実ではありません。
前述の通り、廃タイヤの熱利用先における購入価格が大幅に下落していることについて、本来であれば「中間処理業者にとって価格的に有利な持ち込み先が無くなった」という表現が正しいと認識しています
※ ※ ※
前述のナショナルソードの影響により、廃プラスチックの需給バランスも変化し、供給過多となり購入価格が下落しています。
熱利用の燃料として競合する廃タイヤの購入価格も下落しており、その分の差額がユーザー負担の廃タイヤ処分費用に載せられることで、処分費用が高騰していると考えられます。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。
普通にお金を払えば済むコト。高くてもちゃんと払おう。
問題はその後、処理業者が郊外に野積み放置したりする事。
メーカーもちゃんとリサイクルシステムを構築すれば済む話なんだが‥
ビール瓶や牛乳瓶の様にメーカーが回収して再利用すれば良いと思う。
空缶もちゃんと回収すべき。
ペットボトルや古紙なども途上国に輸出する意味が分からん。