2000万円以下だけどF1マチックは大丈夫!? 「599」と「575M」の決定的な違いとは?

「599」以降の6速セミAT「F1スーパーファスト」なら安心

 2005年に発表された「599(日本以外では599GTBフィオラーノ)」は、575Mマラネロに代わるフェラーリV12ベルリネッタである。

 ボディ/シャシは「360モデナ」以降、量産フェラーリの定番となったアルミ合金製スペースフレームにアルミボディが組み合わされる。そのボディデザインは、古典的なフェラーリFRグラントゥリズモの文法に従ったものだが、四隅にタイヤを配したレイアウトや特徴的なリアウインドウ処理など、新しいデザインにチャレンジした跡も随所にうかがわれる。

●2011 フェラーリ「599 GTBフィオラーノ」

信頼性の高くなった6速セミAT「F1スーパーファスト」を搭載した「599」は狙い目の1台といえるかもしれない(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
信頼性の高くなった6速セミAT「F1スーパーファスト」を搭載した「599」は狙い目の1台といえるかもしれない(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

 フロントに搭載されるエンジンは、エンツォ フェラーリ用を起源とするF140C型6リッターV型12気筒で620psを発生。0−100km/h加速3.7秒、最高速は330km/hを超える素晴らしいパフォーマンスを発揮した。

 また変速スピード、マナーともに洗練された「F1スーパーファスト」ギアボックスに加えて、トラクションコントロールを組み入れた「F1-TRAC」に「SCM」サスペンションなど、フェラーリのレゾンデートルたるF1GP参戦で培われた当時の最新電制技術もふんだんに盛り込まれ、サイズを感じさせないハンドリングを身上としていた。

 RMサザビーズ「OPEN ROAD FEBRUALY」オークションに出品された599は、2011年3月にフェラーリのマラネロ本社工場からラインオフ。カナダに向けて輸出され、10年後の現在でもカナダに生息する個体である。

 ボディカラーは「ネロ(黒)」で、レザー製のインテリアは「クオイオ(Cuoio:ナチュラルレザー色)」。

 左右フェンダーの「スクーデリア」シールド、イエロー塗装仕上げのブレーキキャリパー、20インチ「チャレンジ」ホイール、イエロー文字盤のタコメーター、「デイトナ」スタイルのシートインサート、そしてカーボンファイバーダッシュボードとセンターコンソールトリムで構成される「カーボンファイバーパッケージ」など、ファンが望むエキストラオプションはひととおり備えられている。

 現状での走行距離は2万8700kmに満たないローマイレージ車であることも相まって、内外装およびメカニカルパートのコンディションは上々。新車としてデリバリーされた際に添付されたマニュアル、専用ボディカバー、現代のフェラーリでは必須となった専用バッテリーテンダー、そして純正ツールキットなども完備されていた。

 この599GTBフィオラーノには、15万−17万5000ドルのエスティメートが設定されていたのだが、オンライン競売では「リザーヴ(最低落札価格)」に届かず、残念ながら流札に終わってしまった。

 現状ではRMサザビーズ北米本社の営業部門による「Still For Sale(継続販売)」となっており、16万5000ドル、つまり邦貨換算約1790万円のプライスタグがつけられている。

 以前筆者が東京都内のフェラーリ専門ユーズドカーショップにてインタビューをおこなった際には、599以降の6速セミAT「F1スーパーファスト」は心配されがちなクラッチのトラブルや摩耗も少なく、非常に信頼性が高くなったという話をうかがった。

 日本国内でのFor Sale情報を見ても、おおむね1500万円前後に収まっている599は、FRとなったフェラーリV12ベルリネッタのなかでもけっこう狙い目のモデルではというのが、筆者の率直な感想なのである。

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