最大100万人が失業も? 豊田会長「このままではクルマが作れなくなる」危機感 鍵となる「LCA」とは
今後も日本の自動車産業は「自動車をド真ん中に」
質疑応答で経済媒体の記者から、「日本は電動車向け電池の開発で中国や韓国に後塵を拝するのではないか」と聞かれたときでも「重要なことはLCAであり、製造でのクリーンエネルギーのあり方が問われる」とし、自動車産業界とエネルギー産業界とのさらなる連携が必要であると強調しました。
もしそれができないのならば、ハイブリッド車や燃料電池車など、世界市場でも日本が技術的にリードしている分野でも事実上、車両を日本国内で造れなくなり、前述のように70万人から100万人が雇用を失うことになるというのが、日本にとってのワーストシナリオです。
だからこそ、あえて「大きなマグニチュード」という表現を用いて、自動車産業のみならず日本の経済界全体としてカーボンニュートラルに向けた企業としての考え方を根本的な転換すべきだと主張したのです。
そのうえで「カーボンニュートラルにおいても、自動車を『ど真ん中』に置いて頂きたい」、「カーボンニュートラルに向けては、エネルギー政策と産業政策をセットで考えるべきだ」と強く要望しましたが、これは業界団体の長として、菅総理を含めた政府に向けた言葉だと筆者(桃田健史)は感じました。
エネルギーのクリーン化の実現と、それに連動した日本自動車産業の変革を政府が掲げる2050年までにおこなうことについては、「(2021年時点から見て)30年しかない、というより30年もある」という前向きな変化を進めるとの見解を示しました。

なお、別の記者からの質問で、「来期の自動車産業の業績見通しと東京モーターショーはどうなるのか」と聞かれると、依然としてコロナ禍であり来期の見通しは難しいとしたうえで、東京モーターショーについては(開催の有無や開催方法について)「検討中だ」というに止めました。
Writer: 桃田健史
ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。











