発売直前でお蔵入りになったモデルもあり? 和製スーパーカー5選

残念ながら日の目を見ることができなかった2台のスーパーカーとは

●日産「MID4/MID4 II」

発売直前までいったものの幻となった日産製スーパーカー「MID4」
発売直前までいったものの幻となった日産製スーパーカー「MID4」

 日産は1989年に「Z32型フェアレディZ」と「R32型スカイラインGT-R」という、2台の高性能スポーツカーを発売しました。この2台と並行して開発され、幻に終わったスーパーカーが「MID4/MID4 II」です。

 MID4(ミッドフォー)とは、エンジンをリアミッドシップに搭載した4WDスポーツカーに由来した車名です。もともとは新技術の研究開発を目的とした実験車両で、1985年のフランクフルトモーターショーで発表されました。

 外観はフェラーリ「512BB」を強く意識したデザインで、あくまでもショーカーという位置づけでした。

 しかし、2年後の1987年に開催された東京モーターショーの日産ブースには、市販車に近いレベルまで進化した「MID4 II」が出展され、いよいよ発売へ現実味をおびることになります。

 MID4 IIは最高出力330馬力を発揮するV型6気筒DOHCツインターボエンジン「VG30DETT型」を、リアミッドシップに縦置きに搭載。サスペンションはフロントにダブルウイッシュボーン、リアには7代目「スカイライン」に搭載された後輪操舵機構「HICAS(ハイキャス)」を装備したマルチリンクを採用。

 内外装やメカニズムはいつ市販化されてもおかしくないほどのクオリティで、実際に、市販化に向けた検討が社内で何度もおこなわれましたが、MID4の市販化を実現するには莫大な開発費と工数が必要と判断され、市販化を断念することになりました。

 しかし、MID4に採用された数々の新技術は、前述のZ32型フェアレディZとR32型スカイラインGT-Rの2台に生かされ、MID4の開発は無駄にはならなかったといいます。

●ホンダ「HSV-010」

時代の波に翻弄された結果、お蔵入りとなったモデルのレース仕様「HSV-010」
時代の波に翻弄された結果、お蔵入りとなったモデルのレース仕様「HSV-010」

 ホンダは2010年から日本でもアキュラブランドを展開すると発表し、そのフラッグシップモデルとして初代「NSX」の後継車となるスポーツカーを発売すると宣言しました。

 この新型スポーツカーの概要は、V型10気筒エンジンをフロントに搭載し、リアタイヤを駆動するFRを基本とした4WD車というところまで決定しており、まさに前述のLFAのライバルといえるスーパーカーでした。

 しかし、2008年にリーマンショックが起こり、世界規模で景気が急速に悪化。これを受けホンダは、日本におけるアキュラブランドの展開を白紙に戻し、同時に新型スポーツカーの開発も凍結すると発表しました。

 幻となった新型スポーツカーでしたが、2010年に「HSV-010」の名でスーパーGTへの参戦を表明。初代NSX以外、スーパーGTに参戦するためのベース車両が無かったホンダにとっては、苦肉の策といえます。

 市販していないモデルながらスーパーGTへの参戦が認められ、幻のスーパーカーは日の目を見ることになりました。

 その後、世界経済が回復したため、ホンダは新たなコンセプトのスーパーカーの開発をスタートし、新型NSXとして発売されました。

※ ※ ※

 2020年から新型コロナウイルス感染拡大による世界的な経済への影響が懸念されてきましたが、ここにきてスーパーカーの上をいく「ハイパーカー」市場が非常に活性化しています。

 ハイパーカーは1000馬力前後の出力を発揮するパワーユニットを搭載し、価格も1億円以上が目安です。

 また、ランボルギーニ「ミウラ」や「カウンタック」、クラシック・フェラーリといったオールドスーパーカーも、オークションでは高値を更新し続けています。

 こうしたモデルは資産価値も高いと評価され、コロナ禍が収束した後にさらに値上がりも期待されるため、セレブに人気となっているようですが、庶民には関係のない世界ではないでしょうか。

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