静かだからこそ聞こえる音がある、電動バイクレース『MotoE』ならではの特徴とは?

電動バイクレース『MotoE』にはエキゾーストノートがなく、だからこそ聞こえてくる音があります。2019年から始まった、内燃機関のバイクレースとは違った面白さに迫ります。

MotoEが奏でる“新しいモータースポーツの音”

<

 FIM Enel MotoE World Cup(以下、MotoE:モト・イー)は、2019年から始まった電動バイクのチャンピオンシップです。供給される『Energica Motor Company』の電動レーサー『Ego Corsa(エゴ・コルサ)』と、ミシュランタイヤによって争われます。レースはMotoGPのヨーロッパで開催されるグランプリに併催され、3年目を迎える2021年シーズンは、6戦7レースが予定されています。

【画像】電動バイクのチャンピオンシップ『MotoE』とは?(6枚)

電動レーサーには当然エキゾーストノートがなくサーキットは静かなもの。しかしレースの激しさはMotoGPなどと変わらない

<

 MotoEの予選「Eポール」は、ライダー1人ずつ、1周のタイム計測によって争われ、決勝レース(2020年の場合)は5周から7周で行なわれました。この短い周回数は、すべてのライダーがバッテリー残量を気にすることなく、スタートからフィニッシュまで攻め続けることができるように設定されたものです。MotoEもMotoGPと同じように、ライダーが激しく競い合うレースなのです。

 では“MotoEらしい”レースの魅力とはどのようなものがあるのでしょうか? その違いを見ていきましょう。

 電動バイクによるレースですから、エキゾーストノートはありません。その静かさは、現地にいても建物の中に入ってしまえばセッションが始まっていることがわからないほど。MotoGPなどはエキゾーストノートがサーキット中に響き渡りますから、音の違いは顕著です。

 しかし一方で“MotoEにしかない音”も存在するのです。MotoEマシンが奏でる“キィーン”という甲高いモーター音はもちろんのこと、セッション中は“キキキッ”というブレーキ音や、タイヤがゼブラを擦る音、ライダーがコーナーでひざを擦る音さえも聞こえます。これらは映像越しですら耳に届くほどです。

Eポールと呼ばれる予選では、ライダーが1人ずつ1周のタイム計測で行なわれる

<

 とくに1人ずつコースに出てタイム計測を行う予選のEポールでは、音がより鮮明に聞こえてきます。そうした音は、ライダーが電動レーサーを操作するイメージをよりリアルにしてくれます。

 確かに、エキゾーストノートのようなビリビリと体を震わせる音ではありませんが、これらもまた“新しいモータースポーツの音”ではないでしょうか。

 こうした静けさは、ライダーにもこれまでにない音を届けているようです。2020年MotoE第2戦アンダルシアGPでは、2位を獲得したジョルディ・トーレス選手が決勝レース後の会見で次のように述べました。

「マッテオ(・フェラーリ)が(ストレートからの)ロングブレーキをしていたとき、リアタイヤの“ウウウ~ッ”というノイズが聞こえてきた。それからマッテオが“あ~~~!”と言ったのを聞いたんだよ! そのあとマッテオはエリック(・グラナド)に接触した。まるで公道での交通事故みたいな音だった。それから“ウッ!”“アッ!”というライダーの声も聞いたんだ」

レース中はライダー同士が接近するとはいえ、クラッシュの音やライダーの声が聞こえるらしい(写真は2020年第4戦エミリア・ロマーニャGP)

<

 このレースでは4番手を走っていたフェラーリ選手が、6コーナーで止まり切れずに直進、その前を走っていたグラナド選手に接触して、2人とも転倒しました。その後方を走っていたトーレス選手には、通常とは違ったブレーキング音、2人のライダーの声、クラッシュの音が聞こえていた、というのです。

 もちろん転倒した2人が無事だったからこそ、トーレス選手はこのアクシデントを電動バイクレースならではのエピソードとして紹介したということを付け加えておきます。ともあれ、MotoEが内燃機関のバイクレースとは違った状況で行なわれるレースということがわかります。

バッテリー残量表示の試み

<

 MotoEをプロモートするドルナスポーツは、2019年からMotoEならではの情報をレース中継に乗せています。2019年最終戦バレンシアGPでは、一部ライダーのタイヤの表面温度を表示、また2020年は一部のレースでバッテリー残量が表示されました。

 MotoGPなどでもバンク角や速度、使用ギア、最近ではライダーや関係者の心拍数などの情報が表示されてレースを楽しむ要素になっていますが、MotoEでは一部ライダーのバッテリー残量が見えるようにしたのです。

2020年MotoE第2戦アンダルシアGPでは2位を獲得したジョルディ・トーレス(左)は、2020年MotoEチャンピオンに輝いた

<

 確かに、現在のMotoEはすべてのライダーがバッテリー残量をマネジメントすることなく最後まで走りきる周回数となっています。しかし、もし全サーキットで、すべてのライダーのバッテリー残量を見ることができれば、その比較もまた、MotoEらしい楽しみ方になりそうです。

※ ※ ※

 MotoEはMotoGP公式サイト「motogp.com」の有料ビデオパスを購入することで、予選Eポールと決勝レース、さらにインタビューや会見などの様子も視聴できます。一部無料で見られるコンテンツもありますので、まずはのぞいてみてはいかがでしょうか。

提供:バイクのニュース


Curtiss Motorcycles最新電動バイク「Curtiss One」初期ロット1000万円オーバーの超高級モデル発売


ヤマハ「YZR750」 ロードレーサー2スト最大排気量のモンスターマシン


「日本のライダーたちの希望になりたかった」小さなバイク屋さんが市販レーサーホンダ「NSF250R」で世界に挑戦した理由


普通免許で乗れる電動3輪バイク発売 1回の充電で約100キロの走行が可能に


ヤマハ「JOG125」発表 車重100kgを切る軽量な原付二種スクーター

【画像】電動バイクのチャンピオンシップ『MotoE』とは?(6枚)

まさか自分のクルマが… 高級外車のような超高音質にできるとっておきの方法を見る!

画像ギャラリー

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー