昔の名前でやってます!? 国内で消滅しても海外で進化した車5選
クルマの人気や需要は移り変わりが激しく、惜しまれつつ販売終了して姿を消してしまうモデルも数多くあります。しかしなかには、日本では消滅してしまったけど、海外で名前が生き残っているモデルも存在しています。海外で昔の名前のまま独自の進化を遂げたクルマを紹介します。
海外の需要に対応し進化を続けるクルマたち
クルマに求められるニーズや流行の変化で、惜しくも生産終了してしまう車種があります。
しかし日本では生産・販売が終了していながら、海外でモデルチェンジして進化を続け、昔の名前のまま販売されている「海外専売モデル」もじつは結構あるのです。
そこで今回は、日本ではもう売っていないけれど、昔の名前で販売されている海外専売モデルを5台ピックアップして紹介します。
●日産「ムラーノ」
徐々にSUV人気が盛り上がる気配を見せていた2002年に、北米市場向けに誕生した日産「ムラーノ」。
当時はクロカンベースの大型SUVが多いなか、スタイリッシュな都会的デザインと、大型サルーンに匹敵する乗り心地、「フェアレディZ」にも搭載されたV型6気筒エンジンを採用した動力性能が魅力でした。
その人気に後押しされ、2004年には右ハンドル化されて日本市場にも登場。最終的には80か国で販売される大ヒットSUVとなりました。
2008年には2代目へとフルモデルチェンジ。初代の大ヒットを受けて今度は最初からグローバルモデルとして誕生しています。
しかし日本では環境性能を重視するようになり、2.5リッター直列4気筒もありましたが、パワーを重視した3.5リッターV型6気筒エンジンを主軸としたラインナップは、燃費の悪さから日本市場では受け入れられませんでした。
さらに、アクの強いデザインも影響し、ムラーノは徐々に人気が低迷。その結果、2014年に発表された3代目は、日本以外の100か国以上で販売される海外専売モデルとなってしまいました。
3代目ムラーノは北米市場のニーズを取り込み、全長4887mm×全幅1915mm×全高1720mmとほぼフルサイズと呼べる大きさに進化。
日産のVモーショングリルやブーメラン型のヘッドライトを取り入れ、クーペのようなボディラインの採用など、かなりカッコいいデザインとなっています。
北米では燃費よりパワーや加速の良さが重視されるため、V型6気筒エンジンがいまだに人気となっており、3代目ムラーノも3.5リッターV型6気筒エンジンを搭載。
日本よりガソリン価格が安いことから大排気量エンジンが現役で、ムラーノにはハイブリッド仕様が設定されていません。
ただし、日本でも現行ムラーノは購入可能で、日産と縁が深いインパルが輸入窓口となっています。
●ホンダ「HR-V」
人気のクロスオーバーSUVの元祖ともいえる、都市型コンパクトSUVとして1998年にホンダ「HR-V」が誕生しました。
1.6リッターエンジンを搭載し、コンパクトな3ドアワゴンをそのままリフトアップしたようなボディデザインが特徴で、また当時としては数少ないCVT「ホンダマルチマチックS」を採用するなど先進性もありました。
1999年には実用性の高い5ドアも追加され、2001年にはマイナーチェンジも実施。しかし時代はワゴンやミニバンが人気となりつつあり、2004年に生産が終了し、2006年まで販売されていました。
その約10年後の2013年に、実質的な後継モデルとして誕生したのが「ヴェゼル」です。このヴェゼルが海外では昔の名前の「HR-V」として販売されているのです。
ヴェゼルは3代目「フィット」をベースに開発されたコンパクトSUVとしてヒットを記録。
日本では1.5リッターガソリンエンジンと1.5リッターターボ、1.5リッター+1モーターのハイブリッドをラインナップしました。
一方、欧州のHR-V(2代目)は1.5リッターガソリンと1.5リッターターボ、1.6リッターディーゼル、さらに北米市場向けのHR-Vは141psの1.8リッターエンジンのみと、仕向け地によって異なる仕様が用意されています。
そして2021年2月18日に2代目となる新型ヴェゼルが世界初公開され、同時に欧州では3代目HR-Vがお披露目されました。
新型はデザインが一新され、クーペスタイルを強調した上質感のあるデザインに変更。
パワートレインも刷新し、日本の新型ヴェゼルは1.5リッターエンジンと2モーターを組み合わせたハイブリッドシステム「e:HEV」が搭載され、1.5リッターガソリンも設定されました。
なお、欧州の新型HR-Vはハイブリッドのみとなります。
新型モデルは、日本では2021年4月、欧州では2021年後半に発売される予定です。
●トヨタ「アバロン」
クルマでの長距離移動が多いアメリカでは、ロングホイールベースで居住空間の広い大型FF車が昔から根強い人気があります。
そんな北米市場向けにアメリカトヨタが開発し、日本に逆輸入された大型FFサルーンが「アバロン」です。
初代は1994年に当時の北米トヨタの最上級車種として誕生。日本へは翌1995年にアメリカで生産された右ハンドル車を逆輸入しました。
トヨタ「クラウン」とはイメージが異なる大型サルーンでしたが、見た目も含めて保守的なデザインを採用したせいか、アバロンは商業的には苦戦します。
2000年には2代目へとフルモデルチェンジ。こちらも日本に逆輸入されたのですが、初代アバロンがヒットしなかったため、新たに「プロナード」という日本市場のみの名称が与えられました。
しかし、残念ながら2代目もクラウンの強固な牙城を崩せず、日本市場から消滅してしまったのです。
一方アメリカでは堅調な人気を確保し、2005年には3.5リッターへと排気量をアップさせた3代目がデビュー。5mを超える大型FFサルーンとして、北米トヨタの最上級車種として販売されます。
2012年には4代目へモデルチェンジし、現行カムリのような大きなグリルを装備。デザインはかなりスポーティかつ近未来的へと進化しています。またこの4代目からはハイブリッドモデルも追加されました。
そして2018年、現在の5代目へと進化したアバロンは、ワイルドかつアグレッシブなフロントマスクと、クーペのような流麗なボディデザインを採用。サイズは全長4975mm×全幅1849mm×全高1435mmとクラウンより大型化し、ホイールベースは2870mmで車内も広々としています。
パワートレインは、北米で販売されているカムリと基本的には共通で、301psを誇る3.5リッターV型6気筒ガソリンエンジンと、2.5リッター直列4気筒エンジン+モーターのハイブリッドというラインナップ。
2021年からは205psの2.5リッター直列4気筒ガソリンエンジンを搭載したAWD(4WD)モデルも追加されています。
日本に導入された初代・2代目アバロンは地味でしたが、現行モデルは想像以上にカッコよく、いまなら日本でも人気がでるかもしれません。
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