「エンツォ」や「カレラGT」よりも断然速かったグンペルト「アポロ」とは?

当時のスーパーカーより速かったグンペルト「アポロ」

 アウディ製V8エンジンの最高出力は650psと強力で、1100kgという軽量な車重の恩恵で、0−100km/h加速は3秒ジャスト、また最高速は360km/hを記録する、第一線のスーパーカーに匹敵する実力をアポロは誇っていた。

 組み合わせられたトランスミッションは、6速シーケンシャル。コックピットへの乗降は、ルーフにヒンジを持つガルウイングドアによる。

●2008 グンペルト「アポロ」

ダウンフォースの数値は選択されるオプションによって、1000kgから1200kgに達するとされていたグンペルト「アポロ」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
ダウンフォースの数値は選択されるオプションによって、1000kgから1200kgに達するとされていたグンペルト「アポロ」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

 出品された20台目のアポロは、グンペルト社のデモカーとして使用され、さまざまなメディアの誌面やビデオ映像に出演したほか、2009年8月13日にはニュルブルクリンクのノルドシュライフェを、7分11秒57というタイムでラップしてみせた。これは、フェラーリ「エンツォ」やマセラティ「MC12」、ポルシェ「カレラGT」よりも15秒以上速いタイムであった。

 ちなみにこの記録は、後にポルシェ「918」に破られるまで「公道走行可能なスポーツカー」の最速記録であった。

 そして2013年3月、この20番目のアポロは、イタリアのモンツァ・サーキットで不慮のアクシデントによりクラッシュ。それを期にローランドはグンペルト社の破産を申請した。

 その3年後にアポロ・オートモビリ社として復活を果たし、それと同時に車両のレストア作業も始まり、総額で14万1334ユーロ(邦貨換算約1767万円)もの資金を投じて、ほぼ新車のコンディションへと復活を遂げた。

 修理が完了して以降の走行距離は約1800kmである。トータルでは1万5800kmを走行していることが証明されている。

 RMサザビーズは車両解説の最後をこう結んでいる。「同じスーパーカーでもメジャー・ブランドとは異なり、簡単には購入できないため、このオークションは見逃してはならない」と。

 ちなみにアポロ・アウトモビリ社は現在も活動を続けており、後継車の「アロー」や、アポロの高性能仕様などを生み出している。

【画像】グンペルト「アポロ」の中身はどうなっている?(36枚)

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