中国版「センチュリー」の「紅旗・H9」が2月に日本上陸? 過去に中国車が日本に無かった理由とは

なぜ過去に日本市場に純中国メーカーの乗用車はなかったのか?

 韓国では、2021年1月中旬に日本上陸モデルと同じH9が上陸を果たしています。

 新華社通信の報道によると、最初の2台が1月6日にソウルに到着し、記念式典などを実施。

 韓国語で「(慶)中国 NO.1 国民ブランド 紅旗自動車 韓国上陸(祝)」と大きく書かれ、紅旗ブランドの歴史を紹介するボードまで用意していることから、韓国国内での販売が予定されていると考えられます。

 そして、中国最大級の自動車ニュースサイト「汽車之家」によれば、日本国内のカスタマーによって5台のH9が注文されており、2月1日には認証取得用や展示用の3台が日本に陸揚げされるとのことです。

 3月末にはカスタマーへのデリバリーを開始したいとのことですが、すべては日本国内で各種基準に適合し、認証を取得できるかにかかっています。

 日本において、これまで中国民族系(日欧米の自動車メーカーとの合弁会社ではなく、純粋な中国発祥の自動車メーカー)のメーカーが中国で製造したクルマを「研究用」として日本に輸入、販売した例はあるようです。

 しかし、公道を走れるよう登録された(=日本のナンバーがついた)例はBYD製電気バスなど、EV+商用車という例がわずかにあるのみです。

かつて中国ブランドの「LYNK&CO」は日本未発売ながら日本の富士スピードウェイにて発表会を実施した過去がある。
かつて中国ブランドの「LYNK&CO」は日本未発売ながら日本の富士スピードウェイにて発表会を実施した過去がある。

 乗用車においては、上海ドイツ国民自動車という会社が2020年12月より、上汽大衆(上海汽車とフォルクスワーゲンの合弁会社)製となるモデルの販売を本格的に開始しており、第一号車となる「ラマンド(ゴルフ7のセダン版)」には京都ナンバーがついています。

 同社によると、上汽大衆(上海フォルクスワーゲン)で販売されているすべてのモデルについて日本へ輸入し、登録が可能だといいます。

 輸入や登録に関わる諸費用は1台あたり車両代とは別に250万円から300万円が必要です。

 しかし、これは中国製でも元はドイツのメーカーが作ったクルマだからこそ日本での登録が実現できた背景があります。認証が必要な部品にもすでにEマークがついています。

 一方、中国はUN-ECE(国連欧州経済委員会)による協定規則の締約国(58協定締約国)ではないため、純中国メーカーのクルマを日本で登録するためには、莫大な費用をかけて排出ガス検査や衝突安全、加速騒音などに関する各種の試験をおこなう必要があります。

 ただし、韓国も58協定の締約国ですから、韓国で正式に登録されれば日本での登録もぐっと現実味を帯びてきます。

 今回、紅旗ブランドのH9が日本へ上陸し、登録が実現したら、日本の自動車産業にとって大きな衝撃となります。

 実際に日本への上陸が現実するのか、今後の動向を注視していきたいところです。

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