なぜ日本に中国製EV導入? 小型EVトラックは物流業界に革命を起こすのか

日本の物流に変化をもたらす存在になる? エレモの魅力とは

 エレモがほかの商用EVにない強みとして、車体形状の自由度が挙げられます。

 同価格帯のミニキャブがライトバン形状のみなのに対し、エレモは荷台スペースを持つトラックボディです。

 筆者(加藤ヒロト)も展示車のエレモに乗ってみましたが、全長3910mm、全幅1400mm前後で見た目はとてもコンパクトなのですがキャビン内は意外にも広々していました。

 大人2人が乗り込んでも窮屈ではなく、シートはリクライニングも可能です。足元スペースも確保されており、車内での移動も楽におこなえます。

 頭上には収納スペースもセットされ、コンパクトながらも上に広いキャビンスペースを余すこと無く活用している設計です。身長187センチの筆者が乗り込んでも高さと足元スペースはちょうど良いという印象を受けました。

 ボディタイプはフラットベッド(全幅1376mm)、アルミ平ボディ(全幅1440mm)、そして荷室ボックス搭載のボックスタイプ(全幅1400mm)を予定しています。

 配送トラック仕様や、キッチンカーなどの移動販売車、土木作業用の資材運搬車、アミューズメントパークなどでの人員輸送車、地方自治体などが所有する散水車や消防車など、その自由度の高さのためにさまざまな用途での使用が可能となります。

 室内装備も充実しており、欧州仕様にはないエアコンも日本仕様では装備されています。

 ダッシュボードの中心部には走行距離やバッテリー情報、速度、アンペア数、モーター回転数などを表示するディスプレイがセットされており、普通の車と同じ位置にオーディオ関係の操作を行うタッチディスプレイも取り付けられています。

中国製小型EVトラック「メトロ」。室内は日本仕様になっている。
中国製小型EVトラック「メトロ」。室内は日本仕様になっている。

 ドアは一見薄く見えますが、開閉してみるとわかるその質感の高さには驚かされました。

 ドアミラーの調整や窓ガラスの開閉は手動となっていますがコンパクトなボディなのでそれほどのストレスは感じないでしょう。

 車体のシャシは元マグナシュタイア(オーストリア)のエンジニアが設計しており、バッテリーなどの駆動系もすべてシャシー底面に配置されています。

 車台自体がヨーロッパの狭い路地などでも難なく使えるような設計となっているため、小回りの効きが重要となる日本での運用にも問題なさそうです。

※ ※ ※

 HWエレクトロでは航続距離の異なるグレードを2種類用意し、基本となるボディタイプも3種類を展開する予定。

 満充電・空荷時で120キロ走る「ELEMO120」は予約価格199万から220万円、200キロ走る「ELEMO200」は予約価格250万から271万円で展開されます。

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Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト

下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。

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