みんな憧れたデ・トマソ「パンテーラ」はいま、1000万円で手に入る!

第1次スーパーカーブーム時代に人気を博した、デ・トマソ「パンテーラ」。車両価格がお手頃だったということもあり、チューニングやカスタムが施された個体が多いが、オリジナルコンディションを保ったパンテーラがどれほどの価値があるのか、最新オークションで調査してみよう。

イタリアとアメリカの合作スーパーカーとは?

 1960年代も終盤を迎えた頃、イタリアのデ・トマソとアメリカの巨人、フォードとの間でひとつの魅力的な新型車プロジェクトが立ち上がる。

 それはデ・トマソの手によって生み出されたスーパースポーツを、フォードのリンカーン・マーキュリー部門のディーラー・ネットワークを通じて、全米で販売するというものだった。

イタリアとアメリカの合作であるデ・トマソ「パンテーラ」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby'sVAGUE
イタリアとアメリカの合作であるデ・トマソ「パンテーラ」(C)2020 Courtesy of RM Sotheby'sVAGUE

 当時フォードのトップにあったリー・アイアコッカが想定した年間販売台数は、デビュー年で1000台。

 それを最終的には5000台規模にまで拡大しようというのだから、デ・トマソにとってそれがいかに魅力的なプロジェクトであったのかは想像に難くない。

 後に「パンテーラ」とネーミングされることになるその新型スーパースポーツには、ティーポ874の開発コードが掲げられ、その開発は1969年から始まった。

 チーフエンジニアは前後して、ランボルギーニからデ・トマソへと移籍してきたジャン・パオロ・ダラーラ。そしてデザインはギアに委ねられ、チーフスタイリストのトム・チャーダがその重責を担うことになった。

 ティーポ874、すなわちパンテーラが開発されるまでのデ・トマソ車は、いずれもファーストモデルである「ヴァレルンガ」から変わらず、バックボーンフレーム構造を持つものだったが、ダラーラは将来的なパンテーラの生産規模を考慮して、それをフレームビルトインタイプのモノコック構造へと一新する。

 リアミッドに搭載されるエンジンは、フォード製の351立方インチ(5763cc)V型8気筒OHVのクリーブランド・ユニット(生産工場の名前から、こう呼ばれることも多い)であった。

 潤滑方式はオリジナルのクリーブランド・ユニットがそうであるようにウエットサンプで、燃料供給はホーリー製の4バレル・キャブレターによる。最高出力は当時主流のグロス表示で300ps前後と推察するのがもっとも一般的な見方になるだろうか。

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