ブガッティが身売り!? 火の車だったスーパーカーメーカー3社の現状とは?

実は苦しい台所事情だった、英国2大ブランドとは?

 先日待望のSUV、「DBX」が誕生したのと前後して、CEOがアンディ・パーマー氏から、これまでメルセデスAMGを率いてきたトビアス・モアーズ氏へと変わったアストンマーテインも、その業績は当初の計画ほどに芳しくはない。

 もちろんDBXの登場が、その状況を世界的に一変させてくれることは、これまでの他社の例を見れば明らかなところなのだが、2018年10月のIPO(新規株式公開)以来、低迷を続けた株価が今後どう動くのかは株主にとっては興味深いところでもある。

●カナダからの救世主登場! アストンが生まれ変わる!?

凍結されていたプロジェクトであるラゴンダの復活が望まれる
凍結されていたプロジェクトであるラゴンダの復活が望まれる

 アンディ・パーマー氏と、トビアス・モアーズ氏の経営方針に大きな違いがあるとするのならば、それはパワートレインの電動化に対する積極性だろうか。

 メルセデスAMGでは、続々と電動化技術を採用したパワートレインを採用し、モデルラインナップを急速に拡大してきたトビアス氏。一方でパーマー氏は、ラゴンダという伝統のブランドをBEV専門超高級車ブランドとして立ち上げる計画を発表していたが、そこに至るまでの資金的な状況は厳しかった。

 そこで2020年登場したのが、カナダのミリオネアである、ローレンス・ストロール氏だ。彼はアストンマーティン・ラゴンダ社の株式を16.7%取得し、さらに今後発行される株式も取得する計画だという。その総額は5億ポンド(約715億円)に達するというから、株主としてのストロール氏の影響力は相当に大きなものになるだろう。

 彼の意思が、今後どのようにアストンマーティンに影響し、あるいは計画が一時凍結したとも噂されるラゴンダを復活させるか否か、それはそれで楽しみではある。

●マクラーレンの本社が売却される!?

マクラーレンの象徴でもあるテクノロジー・センターが売却されるかもしれない
マクラーレンの象徴でもあるテクノロジー・センターが売却されるかもしれない

 2020年の自動車産業を襲ったもっとも大きな脅威。それはいうまでもなく、新型コロナウイルス感染予防による生産工場やロジスティックの停止だろう。

 その直撃をもっとも強く受けるのは、生産台数が少ないハイパーカーやスーパーカーの世界だ。1台あたりの単価は大きくても、キャンセルされれば売り上げは激減するからだ。

 そのような事情から、本社を売却するという決断を下したのは、イギリスのロンドン郊外、ウォーキングにあるマクラーレンだ。106台限定の「スピードテール」が即完売したといわれ、そのようなニュースだけを見ていると経営は安定しているものと思われたが、内情が少し違ったようだ。

 ノーマン・フォスター卿が設計し、2004年に建設されて以来、おもにロードモデルの開発に使用されてきた、マクラーレン・プロダクション・センター(MPC)、F1マシンを含めた開発の拠点ともいえるマクラーレン・テクノロジー・センター(MTC)、そしてマクラーレン・ソート・リーダーシップ・センター。これら現在のマクラーレンを象徴する建物のすべてが売却され、その後リースバックという形態で、マクラーレンは引き続きこの場所で活動を計画する予定なのだという。

 もちろんそれには売却先である不動産会社、コリアーズの同意が必要になるが。

 スーパーカー、ハイパーカーの世界に、いま何が起きているのか。少なくとも表面上に表れている華やかな姿ばかりではないことは、確かなようである。

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