なぜか新車購入が増える? ホンダが「中古車サブスク」を強化する理由とは

少し意外? ホンダ中古車サブスクのユーザー層とは

 さて今回、ホンダマンスリーオーナーが全国展開に至るに際し、先行して実施したU-Select城北でのユーザーアンケートを見て、筆者(桃田健史)は少し驚きました。

 主な利用目的でもっとも多かったのが、「買い替え検討を目的とした試乗」だったからです。回答者数の44%を占めます。

 以下、「通勤・単身赴任」19%、「ウインタースポーツ・キャンプなど趣味」17%、「送迎」13%、「通院」10%と続きます。また、コロナ禍で交通公共機関の利用を控える動きがあり、その受け皿としても注目されています。

 この「買い替え検討」とは、中古車だけではなく、新車も含まれ、実際にホンダマンスリーオーナー体験を経て、新車購入に至ったケースがすでに数件あるそうです。

ホンダの「ホンダマンスリーオーナー」ウェブサイト(画像:ホンダ公式ウェブサイト)
ホンダの「ホンダマンスリーオーナー」ウェブサイト(画像:ホンダ公式ウェブサイト)

 一般的にサブスクは、「所有から利用」という消費行動の変化を象徴するビジネスモデルだといわれています。

 ところが、ホンダマンスリーオーナーの場合、「所有から、一時的な利用を経て、また所有」というサイクルが生まれていることが、とても興味深いと思います。

 カーシェアの場合でも、最大手のタイムズによると「会員解約の理由のなかの一定数が、カーシェアでクルマの乗る機会が増えたら、所有する方が便利だと思いはじめ、クルマを買った」という報告があります。

 では今後、自動車メーカー主導型での中古車・新車サブスクは、通常の販売形態と併存できるのでしょうか。

 この点についてホンダは次のように考えているとコメントします。

「併存できると考えています。利用目的として、購入検討のための試乗が多いです。購入検討車が、家の車庫に入るか、家の前の狭い道を問題なく通れるか、キャンプ道具は積めるかなど、通常の販売店での試乗では体験できない検討の仕方ができるからです。

 通常の営業形態ではリーチすることが難しい、潜在検討層や、クルマ離れ層の方の利用が多いことも分かっています。そうしたお客さまから、(もともとは)所有するという選択肢がなかったが、クルマがある生活の便利さを気づいた、という声も頂いています」

※ ※ ※

 ホンダとしては中古車サブスクをきっかけとして、自銘他銘を問わずより多くの人が「クルマを所有しようかな」という気持ちの変化が生まれることは、自動車業界全体にプラス効果になると考えています。

 ホンダマンスリーオーナーは、サブスクの隠れた可能性を浮き彫りにしたようです。

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Writer: 桃田健史

ジャーナリスト。量産車の研究開発、自動車競技など、自動車産業界にこれまで約40年間かかわる。
IT、環境分野を含めて、世界各地で定常的に取材を続ける。
経済メディア、自動車系メディアでの各種連載、テレビやネットでの社会情勢についての解説、自動車レース番組の解説など。
近著に「クルマをディーラーで買わなくなる日」(洋泉社)。

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