激レアモデル7600万円は妥当!? ベクター「W8」ってどんなスーパーカー?
17台しか作られなかったベクター「W8」に価値はあるのか?
オークションに出品されたのは、新たにネーミングを「W8」に変更したプロダクション仕様で、1990年にファーストオーナーからのオーダーを受け、生産が開始されている。
実際に完成したのは9番目、すなわち1991年式のシリアルナンバー「9」ということになる。
最終的にベクターは、17台のW8を生産し、活動を休止することになった。1990年代半ばには、ランボルギーニ製のV型12気筒エンジンを搭載した「M12」で起死回生のヒットを狙うが、こちらもその計画通りにはいかなかった。
とはいえクラッシック・カー・マーケットで、ベクターがその姿を現すことは非常に珍しい。今回の「アリゾナ・セール」のために、その売り手を見つけるのは、相当な苦労があったに違いない。それもまたオークショネアの営業力のひとつといったところなのだ。
そして気になる落札価格は72万ドル(邦貨換算約7600万円)。その希少性やコンディションを考えれば、まずは妥当なところだろうか。参考までにファーストオーナーが支払った新車価格は17万8000ドルだったという。
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【VAGUEの見解】
落札されたベクターW8の走行距離は、たったの2268マイル。内外装のコンディションもよく、ボディカラーも当時の世相を反映するかのような深いパープル。コレクションするには最適な1台といえる。
ランボルギーニやフェラーリなどのスーパーカーを所有、コレクションし始めると、行き着くのは誰も持っていないレアなモデルということになる。その点、ベクターはメーカーそのものがレアであり、W8はたったの17台しか生産されていない究極のレアモデルだ。
近い存在としては、チゼータ「V16T」があるかもしれない。台数の少なさは、クラシック業界では価値を高めることにほかならない。メーカーが倒産してしまったという負のイメージも、時間とともに風化しむしろ神格化される要素になるケースもある。ビッザリーニなどがそうであろう。
また、なにかの拍子にブランドが復活する場合もある(ベクターは限りなくその確率は低いが)。その際に、ブガッティ「EB110」のように、再び脚光を浴び、その価値を高めるケースもある。
1970年代のイタリアン・カロッツェリアが作ったコンセプトカーのようなスタリングも含めて、ベクターはスーパーカーマニアにとって、興味のつきない1台であることは間違いない。最終落札価格が、新車価格よりも高額であることが何よりの証拠だ。
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