もはや反則技! メルセデス・ベンツ「190Eエボ2」は、2500万円で落札!!

もはや小ベンツとは呼べない「190E 2.5-16エボリューション2」

 そして1990年のジュネーブ・ショーに姿を現したのが、190をベースとしたDTMモデルの最終進化型ともいえる、「190E 2.5-16エボリューション2」だった。

 2年続けてのエボリューションモデルの発表は世界を驚かせたが、それ以上に見る者を魅了したのは、エボリューション1よりもさらに過激になったエアロパーツの数々だった。

「190E 2.5-16エボリューション2」でもっとも印象的なのがリアビューである(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's
「190E 2.5-16エボリューション2」でもっとも印象的なのがリアビューである(C)2020 Courtesy of RM Sotheby's

 前後のオーバーフェンダーやリアのスポイラーなど、そのフィニッシュはエボリューション1とは明らかに異なる造形で、いかにも戦うマシンといった印象だったことを現在でも明確に覚えているほど、強烈なものだった。

 フロントに搭載されるエンジンは373psにまで最高出力が高められた2.5リッター直列4気筒DOHC16バルブ。市販モデルの235psと比較しても、その数字は驚異的だ。

 1992年、190E 2.5-16はついにDTMのタイトルを奪取した。参考までにこの年獲得した勝利数は16。ほぼ完全なシーズンをメルセデス・ベンツは送ったともいえるが、それはDTMをさらに過激なシリーズとする、直接の理由となってしまったともいえる。

 この190E 2.5-16エボリューション2が、RMサザビーズのオークションに登場した。

 新車当時アメリカ市場へは正規に輸出されなかったこのモデルは、25年ルール(新車でのデリバリーから25年を経過するとアメリカへ、また15年でカナダへと持ち込める)が適用され、最近同様の事情のモデルとともに高い人気を集めているのだ。

 RMサザビーズによれば、502台が生産された190E 2.5-16のうち、この出品車は直接日本で販売されたモデルであるとのこと。新車時からのドキュメントもすべて揃い、走行距離も5万kmには達していない素晴らしいコンディションだ。

 オンラインでおこなわれたオークションでの最終落札価格は、23万1000ドル(邦貨換算約2495万円)。その価値は十分に高く評価されたといえるのではないだろうか。

 これからアメリカでは、ますます25年ルールに相当するモデルの人気が高まっていくのは間違いのないところ。それには日本のスポーツカーも多く含まれるに違いない。

 日本のカスタマーにとって、オークションは買う時代から、もしかすると売る時代へとシチュエーションを変えていくことも十分に考えられるようになるかもしれない。

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