これぞ「駆けぬける歓び」 BMWマイスターがこれまでに感動したBMW車5選
「駆けぬける歓び」とは、誰もが知っているBMWの有名なスローガンだ。ドイツ語では「Freude am Fahren(フロイデ・アム・ファーレン=運転する歓び)」という。長年BMWドライビング・エクスペリエンスのチーフインストラクターを務め、いままで数多くのBMWモデルに乗ってきたモータージャーナリストのこもだきよし氏に、いままで運転していて感動したBMW車5台を聞いた。
走りが楽しくなければBMWではない
BMWは現在、豊富なラインナップを誇っているブランドだ。
今では1シリーズから8シリーズまで、1、2、3、4、5、6、7、8と順に揃っている。基本のセダンは3、5、7という奇数シリーズで、偶数はクーペスタイルのモデルにネーミングされる。
一般的にSUVというカテゴリーになるBMWのXシリーズは、「X1」「X2」「X3」「X4」「X5」「X6」「X7」まで揃っているが、BMWではX1、X3、X5、X7の奇数シリーズをSAV(スポーツ・アクティビティ・ヴィークル)、X2、X4、X6の偶数シリーズをSAC(スポーツ・アクティビティ・クーペ)と呼んでいる。
また「Z1」「Z3」「Z4」「Z8」など、アタマにZとネーミングされるモデルは、スペシャルティカーとして分類される。現在は「Z4」しかないが、それらはどれも2シーターである。
現行型1シリーズ、2シリーズ、X1、X2などコンパクトなラインナップは、横置きエンジンの前輪駆動(FF)が基本になっているが、3シリーズやX3以上のモデルは、基本的に後輪駆動(FR)をベースにしている。
このBMWのFRモデルの特徴は、前後の重量配分が50:50になるようにデザインされていることだろう。
フロントアクスルを前方にレイアウトし、エンジンは車室に近いところに押し込み、重いバッテリーはトランク内に置くなど、重量配分を50:50にすることにコストをかけている。
これは走りの基本ポテンシャルを引き上げるためだ。グリップ力の特性を考えると、これが一番タイヤの性能を引き出せるからだ。4代目の3シリーズ(E46)以降、FRベースのBMWは、前後重量配分がほぼ50:50になっている。
BMWのスローガンは「駆けぬける歓び」。これはドイツ語の「Freude am Fahren(フロイデ・アム・ファーレン=運転する歓び)」を日本語にした優れたキャッチコピーだ。
昔から走りにこだわりを持つBMWのモデルだが、かつてその走りに感動した5台をピックアップして紹介しよう。
E30型「3シリーズ」(1982年から1994年)
E30型と呼ばれる2代目3シリーズは1982年に日本で登場し、バブル全盛期にかけて日本でもヒットしたモデルだ。
当時から夜の繁華街として有名だった東京・六本木では、どこに行ってもこの3シリーズを見かけたので「六本木のカローラ」などとも呼ばれた。
当時、BMWといえばこの3シリーズをイメージする人がほとんどだった。日本のカーメーカーもこのE30型3シリーズを開発のベンチマークとしていた。あらゆる性能や機能が抜きん出ていたからだ。
典型的な3ボックスのセダンで、当時は2ドア/4ドア、MT/AT、右ハンドル/左ハンドルを自由にチョイスできるワイドなバリエーションを揃えていた。我が家の最初のBMWは、この320i右ハンドル、AT、4ドアである。
サスペンションはフロントがストラット、リアがセミトレーリングアームという組み合わせで、「320i」でもストレート6を搭載し、オーソドックスなセダンにもかかわらず誰にでも「駆けぬける歓び」を味わうことができたことで、BMWのスポーティなイメージが定着した。そして伝統的な「M3」は、E30から初代が誕生した。
E46型「M3 CSL」(2003年)
4代目の3シリーズは「E46」と呼ばれるが、この代のM3を軽量化しさらにパワーアップしたモデルが、2003年に登場した「M3 CSL」(クーペ・シュポルト・リヒト)だ。
ルーフにCFRP(炭化繊維強化プラスチック)を最初に使ったのも、少量生産だったからできたことだ。その他にも前後のスポイラーもCFRPを採用していた。このあとにBMWモデルがCFRPを使うようになっていくが、その先駆けになったモデルでもある。
軽量化はリアシートのクッションを薄くしたり、リアウインドウの厚みを薄くしたり、電動調整式ではなくマニュアル調整のシートを採用したりと徹底した。
3.2リッター直列6気筒エンジンは最高出力360psと、ノーマルM3と比べて17psアップされている。フロントバンパー左側に丸い穴が開けてあるのは、オルタネーターの冷却用である。ブレーキローターもM5用を採用して強化を図っている。
車両重量は1385kgで、パワーウエイトレシオはわずか3.85kg/ps。軽量とパワーアップがいかにクルマを楽しく操ることができるのか、M3 CSLに乗るとよく理解できる。
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