日本中から「林道」がなくなる!? 縦割り行政による修復の弊害とは
今後、日本中の「林道」が姿を消す可能性も!?
こうした慢性的な予算不足のなかで、今後使用頻度の少ない林道に関しては安全を考慮して、一般車完全通行止めにしていくケースが全国的に増えていくのではないかと、ある林業関係者は次のように説明します。
「そもそも林道は安全を担保できないことから、原則は一般車の通行をお断りしています。建前としては自己責任とありますが、造った時から安全性を十分に確保できている構造ではないのです。
台風被害によって道がダメージを受けている現状では、さらに安全を保証することはできず、やむえずゲートを閉めて通行できなくするという道も多くなっていくと思います」
埼玉県と長野県を結ぶ中津川林道は、2019年5月に数年ぶりに開通しましたが、半年も経たないうちに台風の被害で再び通行止めとなりました。林道管理の担当者は、嘆息気味に林道の維持の難しさをこう語ります。
「現在、復旧に向けて測量をしていますが、今度開通するのは何年先か。林道は秩父市の管理ですが、我々としては県道に昇格させて県の管理にしていただきたいと、数年前から活動してきました。
しかし県は予算の問題から、なかなか引き受けてくれません。国や県が修復をしている部分も多いため、我々も無理をいえないというのが実情です。
ただ、住民に必要とされる以上、林道は我々の手で修復し続けますが、将来また崩れたら今後どこまで維持できるのかわかりません」
現在、日本全国の林道で復旧工事を必要とする被害が発生しており、治水のためとか、生活道路であるなどといった重要な事由がない限りは、通行できないままの状態です。
今後、再び大きな自然災害も予想されるため、そうなると日本から走れる林道が消えるという恐れもあながち皆無ではないということになります。
昨今はクルマもバイクもオフローダーブームで、ネット上では林道走行のマナーの悪さについて取り沙汰されることもあります。
林道を長く楽しく走りたいのであれば、我々走る側の林道への理解とマナー改善がマストだという段階に来ているのかもしれません。
Writer: 山崎友貴
自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。
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