1億1000万円のスターリング・モスの名を冠したクルマとは? モスゆかりのハイパー・メルセデス3選

スターリング・モスの名のついた、ハイパーカーとは?

 20世紀末から21世紀初頭にかけての時期、F1GPでのパートナーであったマクラーレンとダイムラーが共同開発。2003年に正式デビューした「SLRマクラーレン」は、往年の300SLRにオマージュを捧げたハイパーカーである。

 そして、半世紀前の300SLRがそうであったように、21世紀初頭における最新・最高のテクノロジーの集合体となっていた。

●メルセデス・ベンツSLRマクラーレン

メルセデス・ベンツSLRマクラーレン・722エディション
メルセデス・ベンツSLRマクラーレン・722エディション

 車体は、マクラーレンが得意とするフルカーボンファイバー製モノコックに、アルミ合金製のサブフレームを組み合わせ、同じくカーボン製のボディパネルをセット。

 そのフロントミッドシップに、最高出力626psを発揮するAMG製スーパーチャージャー付き5.4リッターV型8気筒ユニットを搭載した。そして、パドルシフトを備えたトルクコンバータ式5速オートマティック「AMGスピードシフト」との組み合わせで、0−100km/h加速は3.8秒、最高速度334km/hに達する超弩級スーパーカーとなったのだ。

 一方、2座席のクーペボディは、300SLRのクローズドクーペ版として実験的にワンオフ製作。第二次大戦前/戦後に、一連のメルセデス製レーシングカーの開発を指揮したルドルフ・ウーレンハウト技師がパーソナルカーとして愛用した「ウーレンハウト・クーペ」を現代に昇華させたもの。

 くわえて、クーペ版の生産がおおむね終了した2007年には、オリジナルの300SLRを意識した「SLRマクラーレン・ロードスター」も登場した。

 そんなSLRマクラーレンにおいて、故モス卿との関わりを最も体現していたモデルは、クーペ版およびロードスター版の終焉を飾るモデルとして設定された高性能バージョンといえるだろう。それぞれ「722エディション(クーペ)」、「722Sロードスター」と名づけられたこのモデルの名は、1955年のミッレ・ミリアにてモス/ジェンキンソン組が乗った300SLRのゼッケンナンバー「722」から採られたものだったのである。

●メルセデス・ベンツSLRスターリング・モス

自身の名前がついたクルマの横に立つスターリング・モス
自身の名前がついたクルマの横に立つスターリング・モス

 故スターリング・モス卿にゆかりのあるメルセデス・ベンツ3選。その最後を飾るのは、彼の名前をそのまま車名として掲げた“SLRスターリング・モス”である。

 このクルマは、SLRマクラーレンとファミリーたちが栄光の歴史に幕を閉じようとしていた時期。2009年1月の北米デトロイト・ショーにてワールドプレミアに供された、世界限定75台のみのファイナルモデルであった。

 フロントミッドシップに搭載されるスーパーチャージャー付き5.5リッターV8ユニットは、SLRマクラーレン722エディションと共通のチューン。最高出力650psをマークし、0-100km/hは3.5秒。トップスピードは350km/hに達するという超弩級ハイパーカーであることは、ほかのSLRマクラーレンたちと変わらない。

 しかし、ボディは一連のSLRファミリーとは一線を画したもので、ウィンドスクリーンおよびサイドのスクリーンも省略した、いわゆる“バルケッタ”スタイルを採る。また、左右のシート後方にはドライバー/パッセンジャーの頭部にあわせて隆起した“エアロダイナミックロール”が設けられるなど、モス/ジェンキンソン組が1955年のミッレ・ミリアで優勝した300SLRにいっそう近いフォルムとされていた。

 日本国内には2010年に2台だけ(シルバーとブラックが1台ずつといわれる)が正規輸入され、その販売価格は1億1000万円に達したという。

 そして、このSLRスターリング・モスの限定生産を終えたことをもって、マクラーレンとダイムラーの提携関係も解消。以後は、それぞれの持ち味をより強調したスーパーカーを、独自に生み出してゆくことになった。

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