なぜマツダは毎年改良する? マツダ車が年々進化する理由とは
マツダ車の多くは、毎年のように改良が施され、常に最新モデルがユーザーに提供されています。しかし、他メーカーの多くは、時期や販売状況を考慮して改良やマイナーチェンジを施しますが、なぜマツダは毎年のように改良するのでしょうか。
毎年のようにマツダ車が進化する理由とは
マツダは、毎年のように同社モデルの商品改良をおこなってます。従来、他社のモデルであれば時期や販売状況を考慮して改良やマイナーチェンジを施しますが、なぜマツダは毎年のように改良するのでしょうか。
直近では、2019年に国内でもっとも売れた3列シートSUVの「CX-8」が同年10月23日に、「2.5リッター車にAWD追加/2.5リッターターボ車にFF追加」、「2列目・3列目シートの快適装備追加」、「トランク床下容量の拡大」、「ルーフの雨音対策」、「オフロードトラクションアシストの追加(4WDのみ)」と改良を施しています。
また、ミドルサイズSUVの「CX-5」は、2017年2月に2代目モデルを投入して以来、2020年2月現在ですでに4回の仕様変更を実施。
2019年12月12日には、新色の内外装や特別仕様車の追加以外に機能・性能面で、「パドルシフト標準化(ATのみ)」、「静粛性の進化」、「オフロードトラクションアシストの追加(4WDのみ)」といった部分が改良されました。
この2台は、2018年10月25日にもパワートレインの追加/改良や、快適装備の追加などをおこなっています。
なぜ、マツダはこのような改良を毎年のようにおこなうのでしょうか。CX-5/CX-8の開発担当スタッフに聞いてみました。
「CX-5も最初からベストな状態を狙って開発していますが、時間の経過とともに技術が進化していくので、後からもっと出来ることが出てきます。
そのため、出来るだけ早いタイミングで技術をアップデートすることで、少しずつではありますが、クルマを進化させて、理想の状態になるよう努力を続けています」
その言葉通り、実際に乗ってみると、デビュー当時よりも各部が進化しているのがよく分かります。ハンドリングや乗り心地がブラッシュアップされ、静粛性などの快適性能もアップデートされていました。
さて今回の年次改良で個人的に気になったのが、「オフロードトラクションアシスト」の追加です。これは先に「CX-30」に導入された電子デバイスですが、続けてCX-5と「CX-8」にも採用。
この電子デバイスは、タイヤが空転してスタックした場合、スイッチをONにすれば、自動的にブレーキを作動させて空転を抑制。これによってタイヤのトラクションを回復させるという、昨今のSUVではお馴染みのものです。
一般的なSUVではスタック時に自動で利く「隠れコマンド」のようなものですが、CXシリーズがユニークなのは、わざわざON/OFFスイッチを付けていることです。
その理由については、ほかのトラクション制御系と作動を分けるということもありますが、別の理由もあると前出の開発スタッフはいいます。
「昨今のアウトドアブームなどの影響もあって、ユーザーさんからスタック脱出時などの走破性を高めて欲しいというご要望があって、オフロードトラクションアシストを4WDモデルに追加しました。
スイッチをあえて採用したのは、“オフロードを走る”という意識を高めていただくための儀式、きっかけになればと思ったからです」
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確かに、CX-5以外にもこうしたオフロード用の電子デバイスにスイッチを付けているライバルモデルは少なくありません。
パートタイム4WDでトランスファーレバーを4WDにシフトするように、フルタイム4WDのSUVにもこうした“儀式”はあった方が楽しめます。
短期のシミュレーション開発、新規のコンポーネントの積極的採用、細部変更の繰り返し。
他のメーカーなら、リスクとコストアップを嫌って絶対にやりませんね。
新しい商品力で勝負した結果は、車そのものへの評価には繋がってると思います。