SUVの人気モデルはなぜ「低価格化」? SUVの売れ筋モデルが100万円台後半から購入できるワケ
近年、新車の価格が高価格化しているといわれていますが、そんななかSUVは売れ筋モデルの価格が「低価格化」しているといいます。人気のカテゴリにも関わらず、いったいなぜ売れ筋モデルの価格が高くならないのでしょうか。
SUVの売れ筋モデルは価格が高くなっていない理由とは?
近年の新型車は車両価格が上昇しているといわれていますが、そんななか人気の上昇に伴ってエントリーモデルの価格が低下しているカテゴリにSUVがあります。
人気であれば、カテゴリ内の平均の車両価格は高くなると思われますが、なぜSUVは低価格なモデルが依然として存在するのでしょうか。
近年クルマの高価格化が指摘されるなか、とくに高くなったといわれているのが軽自動車です。
全国軽自動車販売協会連合会が発表した2019年11月の軽自動車販売ランキングで首位を獲得したダイハツ「タント」を例に見ると、2003年11月に発売された初代モデルの価格帯(消費税5%込)は104万7900円から153万3000円となっていたのが、2019年7月に発売された現行モデル(4代目)の価格帯(消費税10%込)は124万3000円から190万8500円となっています。
15年強の期間で、ひとつのモデルでおよそ20万円から40万円ほど高くなった計算です。
また、当時の売れ筋モデルだったスズキ「ワゴンR」と比較しても、2003年9月発売の3代目モデルが車両価格(消費税5%込)80万8500円から158万7600円となっていたことから、やはり高価格になったといえるでしょう。
価格の上昇した理由は、安全装備の充実化や高機能化によるものです。需要の多い衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全装備が標準設定されるグレードが増加しているほか、安全基準や環境基準なども徐々に厳しさを増しているため、車両価格を上げざるを得ないのです。
そのうえ、コンパクトカーをはじめとしたほかのカテゴリにおいても高価格化する傾向です。
そんななか、SUVにおいては逆行した、「売れ筋モデルの低価格化」ともいえる現象が起きています。2000年代に入ってからのSUVの売れ筋モデルは、おおむね100万円台後半からがエントリーモデルの価格の相場だったのですが、それが2019年現在も変わっていないのです。
一例を挙げると、2000年頃の売れ筋SUVと、2019年の直近の売れ筋SUVで、価格差がそれほどないことがあります。
2001年の登録車販売ランキングで23位に入り、当時から売れ筋モデルとして知られていた日産「エクストレイル」は、初代モデルの車両価格(消費税5%込)が194万2500円から296万6250円でした。
しかし、2019年11月にSUV販売首位となったトヨタ「ライズ」は、車両価格(消費税10%込)が167万9000円から228万2200円となっているのです。
このようなことになった背景には、SUVの人気の高まりを受け、車種のバラエティが増加したことがあります。とくに売れ筋モデルのSUVのなかに、コンパクトなサイズのモデルが増加したことは要因として大きいです。
前出のライズは全長4mを切るコンパクトSUVで、また2019年のSUV販売ランキング2位のトヨタ「C-HR」や同4位のホンダ「ヴェゼル」などもコンパクトSUVに分類され、共にエントリーモデルが200万円台前半からとなっています。
すなわち、SUVの売れ筋がコンパクトなモデル中心となったことで、人気のSUVに乗りたい人にとっての乗り出し価格はそれほど変わらない、という事情があるのです。
ライズはトヨタの子会社であるダイハツが開発したモデルで、同社「ロッキー」のOEM車という立ち位置ですが、両車のチーフエンジニアを務めたダイハツ 製品企画部の大野宣彦氏は、次のように話します。
「日本の乗用車市場は毎年横這いの状態ですが、SUVについては年々比率が上がっており、SUVの人気が高まっていることがわかります。
従来のSUVを購入したユーザーに話を聞くと、不満点として『荷室が狭い』『車両価格が高い』『もう少し小回りが利くとよい』などの意見が多く寄せられました。
そこで、コンパクトサイズで広い荷室を持つ、新しいジャンルのSUVの世界があるのではないかと思い、新型ライズ/ロッキーの開発をはじめました」
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SUVにおいても、モデルごとの価格は上昇しており、エクストレイルでは初代モデルの車両価格(消費税5%込)194万2500円から296万6250円だったのに対し、3代目となる現行モデルでは227万2600円から387万5300円(消費税10%込)となっています。
しかし、現在販売されているエクストレイルは衝突被害軽減ブレーキ(インテリジェントエマージェンシーブレーキ)を全車標準装備したり、ハイブリッド車の設定や運転支援システム「プロパイロット」の搭載など、クルマの進化に伴い2000年代のモデルとは装備が異なります。
モデルごとの価格上昇は避けられないものの、人気車種のトレンドが変化することで価格上昇が感じられないカテゴリもある、という一例といえるでしょう。
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