雪道を夏タイヤで走るのは危険! 制動距離はスタッドレスタイヤの約1.7倍という結果に
夏タイヤ(ノーマルタイヤ)で雪道を走る行為は危険です。JAFの実験結果では、ブレーキを掛けてから静止するまでに約30mの制動距離が必要だといいます。ノーマルタイヤと積雪時でも走れるタイヤとでは、どのような差があるのでしょうか。
雪道の夏タイヤは止まれるまでに約30m
全国的に積雪予報が出始めるのが12月です。しかし、都市部や平野部では夏タイヤ(ノーマルタイヤ)のまま走行しているクルマもの多いですが、急な積雪時には危険な行為となります。ノーマルタイヤと積雪時でも走れるタイヤとでは、どのような差があるのでしょうか。
全国でロードサービスを展開するJAFは、2017年にノーマルタイヤをはじめスタッドレスタイヤやオールシーズンタイヤなど6種のタイヤを用い、雪道(圧雪路)と凍結路(氷盤路)での制動距離実験をおこないました。
雪がほとんど降らない地域では、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンを持たないユーザーが多く、降雪時でもノーマルタイヤで走行することでスリップ事故や渋滞の原因になっています。
実験の結果は、40km/hからの急ブレーキで、雪道でのノーマルタイヤの制動距離は29.9m、スタッドレスタイヤの17.3mに対して約1.7倍となり、ドライバーの想像以上に止まれないことが判明しています。
ノーマルタイヤとスタッドレスの特徴を合わせ持つといわれるオールシーズンタイヤでは、雪道(圧雪路)の制動距離が22.7mと、スタッドレスタイヤに近い性能を発揮しました。
しかし、オールシーズンタイヤの凍結路(氷盤路)における制動距離は101.1m。スタッドレスタイヤの78.5mに対しては約1.3倍でノーマルタイヤの105.4mとほとんど変わりません。
凍結路では、チェーン装着がもっとも短い距離で停止でき、これはチェーンに埋め込まれた金属製のピンが氷盤に食い込み、グリップ力が上がったと予想されます。
さらに、ノーマルタイヤにオートソック(ナイロン布製)装着、またはスプレーチェーンをしようした場合は短い距離で止まれたものの、路面や走行距離によって繊維が傷むほか、スプレーの液剤が取れるなどの影響により、安定した性能を得ることが難しく、あくまでも緊急用として考えておく必要があります。
ノーマルタイヤ、オールシーズンタイヤ、オートソック、スプレーチェーンは軒並み制動距離が長くなり、ノーマルタイヤはチェーンの約1.8倍も制動距離が長くなりました。
日中に積もった雪が溶けたり、雨が降った後や冷え込みが強くなる日没後に凍結する場合もあります。凍結が予想される場合は、いずれのタイヤであっても慎重な運転が重要です。
雪道をノーマルタイヤで走行することについて、JAFは次のように話します。
「ノーマルタイヤは、スタッドレスタイヤなどと比べて、明らかに制動距離が長くなり、極めて危険になるので、スタッドレスタイヤやチェーンを必ず装着してください。
スタッドレスタイヤを装着していても氷盤路など路面状況によっては制動距離が長くなることもありますので、過信は禁物です」
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また、近年のクルマには安全装備のひとつとして、衝突被害軽減ブレーキ(通称:自動ブレーキ)が搭載されています。
JAFは、雪道での衝突被害軽減ブレーキは、システムが適切に作動して障害物(前方に停止車両と見立てたもの)との衝突を回避できるのかを圧雪路と氷盤路で速度は10km/hと30km/hで検証しました。
結果は、いずれの場合も障害物を検知してシステムは作動しても、圧雪路の10km/h以外は止まることができず、停止車両に見立てた障害物に衝突しています。
これは、自動車メーカーが「作動には条件がある」というように、滑りやすい路面の場合、衝突被害軽減ブレーキが十分に効果を発揮できないことがあるためです。
雪道では、とくに先進安全機能に頼りすぎることなく、安全な速度と十分に車間距離をとった運転が重要といえます。
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