「マリオカート ツアー」アプリ配信で話題 その裏で外国人に大人気の公道マリカーは東京五輪前に姿消す?
安全性と知的財産権の問題、裁判では公道カートが負ける?
問題とされているマリオカート風カートは、車高が低いため大きなクルマやトラックから見えづらく、思わぬ事故を引き起こす危険性があると指摘されています。
スピンしやすくブレーキもかけづらいカートで、ヘルメットさえ被ぶらずに60km/h近い速度を出すのは、一般的な感覚では危険行為といってもおかしくはないでしょう。
先頭と最後尾にはサポートとしてスタッフ車が付き、車線変更や右折時には周囲を警戒しながら走行しているとのことですが、あくまでグループ全体のサポートであり、当然ながら個々の運転能力まで面倒をみることは不可能です。
また、日本の道路交通法を完全に理解していない外国人にとって、運転しづらいカートでは急な対処や行動ができずに危険とされています。
ちなみに、マリオカートのゲーム上ではほかのカートに甲羅をぶつけたりバナナを投げたりしますが、公道マリオカートではそのようなことがないように事前に厳しく注意されているとのことです。
SNS上でのトラブルの報告や警察への通報も増加しているため、国土交通省は「道路運送車両の保安基準等の一部改正」とし、公道を走行するカートの安全基準の強化に乗り出し、2020年4月に新基準が施行される予定となっています。
また、公道マリオカートの終焉が囁かれている理由としては、安全性の問題以上に知的財産権の問題が大きいとされています。
公道マリオカートをビジネスにしていたのは「株式会社MARIモビリティ開発」という会社で、レンタルカートサービス開始当初は、「株式会社マリカー」と名乗っていました。
しかし、任天堂とはまったく無関係でありながら、社名とマリオカートの略称が酷似している点や、任天堂ゲームのキャラクターである「マリオ」「ヨッシー」「ピーチ姫」などを全面的にアピールし事業活動していたため、許可を出していない任天堂側から2017年に不正競争行為に当たるとして提訴されました。
任天堂が裁判にまで踏み切った経緯としては「マリオカート」や「任天堂」のイメージの低下や、公道マリオカートによるクレームや苦情が、本来無関係である任天堂にメールや電話で多数寄せられるようになったことが原因となっているようです。
その後、2018年の1審判決では任天堂が勝訴します。これに不服を申し立ててMARIモビリティ開発が控訴しますが、2019年6月に出た2審判決でも任天堂が勝訴し、最終的には知的財産権を侵害したとして旧マリカー社に損害賠償が命じられました。事実上、任天堂の勝利となったのです。
2審の判決結果を受け、MARIモビリティ開発は「内容を精査して引き続き対応して参ります」とのことです。
なお、マリオカートのコスプレをせず、一般のカートを公道で運転することに関しては、道路交通法上ではまったく問題ありません。しかし、もし何かしらのキャラクターのコスプレをする場合は、肖像権や著作権を重要な問題として認識し、事前の許可申請をすることが大切です。
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裁判で判決が出てしまった以上、公道マリオカートは終焉を迎えそうですが、現在もツアーが組まれるほど外国人観光客の間では人気です。インターネットの観光サイトでも口コミで広まり続け、公道マリオカートは拡散し続けており、そのためだけに国際免許を取得したという声もありました。
外国人のみならず日本人の間でも、公道マリオカートは人気があります。観光サイトのレビューでは、「通行人に手を振られるため、VIPになった気分が味わえる」や「非日常の景色が楽しめる」と高い評価を得ています。
また、経済効果の面でも賛否が分かれているようです。インバウンドの観光資源のひとつとして人気のあった公道マリオカートを禁止してしまうのは、東京オリンピックが迫っていることもあり「もったいない」という意見もあるようです。
公道マリオカートの復活には任天堂による許可が絶対条件となりますが、任天堂の方針が変わることはあり得るのでしょうか。日本が世界に誇る「マリオ」の未来に注目です。
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