伊勢エビ? ツノが生えた「ハイエース」が激減! ド派手カスタムが難しくなった理由
「200系ハイエース」の登場もバニング衰退の一因
2003年にキャンピングカーの構造要件が厳格化された翌年、200系の「ハイエース」がデビューしました。「2004年に『ハイエース』が200系になってからバニングは一気に消えた」という傾向もあるようです。
関西のハイエース専門店いわく、「バニングのベース車として絶大な人気を誇った100系ハイエースに比べて200系は一回り大きく、またデザイン的にもバニングにしづらい」とのことでした。
実際200系の登場を機にバニング製作をやめた業者が一気に増えたことは間違いないようです。
もちろん、時代の流れ、人気スタイルの変化もあるでしょう。バニングは車検という枠の中で知恵と工夫を凝らしながら日本独自の発展を遂げて来たJDMスタイルのひとつですが、当時、「バニングハイエース」をビルドしていた業者の多くは、2000年代半ばからラグジュアリースタイルの「ハイエース」に転向しました。
2019年1月の東京オートサロン、2月の大阪オートメッセにも、豪華にカスタムされた「ハイエース」が多数出展されました。
バニングが消えたもう一つの理由とは?
すっかり見かける機会の少なくなったバニング車ですが、現在もわずかにバニング車を扱っている中古車店があります。
福岡県にあるカーショップヤマグチに、「バニングハイエース」の現在の様子を聞いてみました。
「現在でも『200系ハイエース』をベースに公認車検で作れないことはありません。しかし、現実的にはバニングを作れる業者が激減しているので難しいでしょうね。
また、巨大なバニング車の場合、塗装スペースは『ハイエース』2台分くらいが必要になります。200系は100系に比べてボディサイズも一まわり大きくなっていますから、塗装スペースを確保することからして厳しいでしょう。
なお、規制強化される以前に8ナンバーを取得したバニング車については、2003年の対象外ですから旧基準のままで車検に通せます。今からバニング車が欲しいという場合は、規制強化以前に作られた中古車として出回っている『バニングハイエース』を購入するのが良いでしょうね。」
バニング車が激減してしまったのには、様々な理由があるようです。実は筆者(加藤久美子)が「バニングハイエース」の取材をしていた時、たまたま海外のテレビ局から、「日本のカスタムカーを取材したい。とくに、バニング車」という依頼を受けました。
海外からも注目される、珍しい存在の日本のバニングスタイルが完全に消えてしまうのは少し寂しい気がしますね。
Writer: 加藤久美子
山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。