なぜ国内未導入? 日本では買えない日本車、個性派クルマ5選
海外で根強い人気を誇る日本メーカーのピックアップトラック
●日産の小型ビックアップ「NP200」
日産「NP200」は、2008年に南アフリカで発売された小型のピックアップトラックで、かつて国内販売されていたサニートラックの後継に当たる存在です。ルノーからOEM供給を受けていた「アプリオ」と同じフロントグリルを、ベースとなっているルーマニア製のダチア「ロガンピックアップ」に装着しています。
0.5トンピックアップトラックとしては最大の室内空間と荷台スペース、競合となるオペル「コルサ」やフォード「バンタム」の最大積載量750kgを上回る800Kgの最大積載量を誇っているため、日常生活での使い勝手や、仕事で使える実用性とレジャー性を兼ね備えていることで人気となっています。
NP200の車名は、Nは日産、Pはピックアップ、200はニッサン基準での車格で表されています。実際には「サニートラック」(現地での名称はニッサン1400)の直接の後継車で、南アフリカで37年間もの長期にわたりモデルチェンジされずに生産され続けたサニートラックを、現代的に大幅にリファインしたクルマになっています。
ドアの後ろにクォーターウインドウが追加され、シートの後ろには実用的な収納スペースがあることや、室内前後長を伸ばしたことで室内空間を広くしていること、ダッシュボードにはタコメーターを標準装備、シートなどのインテリアも現在の乗用車と遜色ないものとなっていて、とてもピックアップトラックには見えません。
搭載されるエンジンは87psを発揮する1.6リッター4気筒で、5速のマニュアルトランスミッション、FF駆動を採用。1速と2速は重量物を積載した際を考慮したローギアードとなっているので、発進加速時も不便はないものと思われます。また、2009年からは1.5リッター4気筒ディーゼルエンジンも追加されました。現在でも日本国内で一部のマニアがサニートラックを愛好していますが、それに比べると全くの別物になっています。
●ホンダの大型ピックアップ「リッジライン」
ホンダ「リッジライン(Ridgeline)」は、2005年に登場した「SUT」と呼ばれる中型スポーツユーティリティトラックに分類される4ドアピックアップトラックです。初代は全長5253mm、全幅1976mm、全高1786mmで、ホイールベースが3099mmと、ホンダが製造した中で最も大きなクルマとしてデビューしました。
荷台の最大積載量は500kgですが、大柄な車体のキャビンと荷台が一体になったエクステリアデザインや、さまざまな豪華装備などは多くの日本人ユーザーが抱くトラックのイメージとは違うものとなっています。荷台の後部下に通常の自動車のトランクと同じように施錠でき上部に開く「In Bed Trunk」や、耐荷重158kgのカーゴフックを両側3箇所に備えオートバイの積載が考えられている点などもホンダらしいところです。
搭載されている3.5リッターV型6気筒VTECエンジンは253psを発揮、5速ATを介してホンダの4WDシステム「VTM-4」で駆動。ピックアップトラックでは珍しい4輪独立懸架サスペンションの採用によって「驚くほどに乗り心地の良いピックアップ」と評価されました。
米国高速道路交通安全局(NHTSA)の衝突テストで、4ドアピックアップトラックで初の前面、側面衝突ともに5つ星を獲得し、その後もマイナーチェンジを続けていましたが、2016年に2代目へのモデルチェンジが行われました。搭載されるエンジンの型式こそは「J35A」のままで変わりませんが最高出力は300psに強化され、組み合わされるミッションは10速ATに進化。走行性能と牽引能力をさらに高めるために4WDシステムは「i-VTM4」にアップデートされています。
また、2代目からは他車に対する競争力強化のためにFFもラインナップし、高い評価を得ていた安全装備も「Honda SENSING」安全運転支援システムを搭載し、さらに好評となっています。