悪路走破性の高さは誤解で台無し! 冬道の正しい「ジムニー」の扱いとは
クルマの性能だけでなく、スコップなどの補助道具も重要
運転する上で、“そんなことはできない…”という人のために、このEPSはフォローしてくれます。雪が30cm以上も積もってしまったような深雪やEPSの介入は邪魔という人は、迷わず「4L」をシフトしましょう。「4L」に切り替えると、ESPは自動的にOFFになります(4HでもESP解除スイッチでOFFに)。
ただし、『ブレーキLSDトラクションコントロール』を有効活用するには、これまでの雪道運転のセオリーは一度忘れなくてはなりません。
『ブレーキLSDトラクションコントロール』は、空転するとブレーキをかけるというデバイスの特性があるため、できるだけ空転させないように控え目にアクセルを踏んでいると、ほとんど機能しません。このデバイスがある場合は、大胆にガバッとアクセルを開けてやる必要があるのです。
脱出するときは、まずは前進せずに後退で試してください。最初に前進してしまうと、さらに状況を悪くして、脱出できなくなります。
また、『ブレーキLSDトラクションコントロール』をもってしても脱出できないことはあります。その場合は、クルマの周囲の雪を除ける作業などが必要ですので、降雪地帯にドライブに行く場合は、作業用のスコップやクワなどを常備しておくことが重要です。
そのほかに、タイヤチェーンについてはオフロード4WDのどのタイヤにチェーンを着けるかという話題になります。基本は後輪となり、2WD時にFRで走行するからです。
ただし、深雪の場合は操舵が利かなくなるため、前輪もしくは四輪すべてにチェーンを着けます。圧雪された一般道で、前輪にチェーンを着けているのは、控えたほうが良いでしょう。
かつて東日本の広い範囲で大雪に見舞われた際、10tトラックをジムニーが牽引する動画が話題となりました。ジムニーは、それだけ優れた走破性を持っているという証しです。新しくジムニーオーナーになった皆さんもこの冬、ぜひその真価の一端を体験してみてください。
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Writer: 山崎友貴
自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。