一人勝ちなぜ続く? 高額でもトヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」が爆売れする理由
ライバルを圧倒する室内空間の広さが魅力
先行していたライバルである日産「エルグランド」だけでなく、ホンダ「オデッセイ」、三菱「デリカD:5」というライバルを圧倒する「アルファード」と「ヴェルファイア」。その人気の理由はどこにあるのでしょうか。
トヨタがそもそも持っている販売力の強さも理由のひとつでしょう。モデルライフが長いライバルに対して、現行の「アルファード」「ヴェルファイア」は2015年のモデルチェンジというフレッシュさもアドバンテージです。また、ガソリン車とハイブリッド車を用意するラインナップの豊富さも魅力です。しかし、最大の理由は、やはり室内の広さにあるといっていいでしょう。
なんといっても「アルファード」「ヴェルファイア」は、室内の高さがライバルに勝ります。ライバル勢の室内高が1300mm前後のところ、「アルファード」「ヴェルファイア」は1400mm。10cmも違うと、明らかに室内の雰囲気が異なります。着席したときの姿勢が、より直立したものになりますし、単純に空間の容積も大きくなります。
その分、クルマ全体の背が高くなるので、走る/曲がる/止まるといった走行性能にはネガティブに影響します。しかし、ミニバンを買いもとめる人の最大の関心事は室内空間の快適性でしょう。そうしたときに、室内高の余裕がモノを言います。これがライバルを圧倒した最大の理由なのではないでしょうか。芸能人や政治家、企業のトップが「アルファード」を好んで利用するのも納得できます。
ちなみに、今、日本でもっとも売れているクルマはホンダの軽自動車である「N-BOX」です。2018年1~11月で、22万5263台を売り上げ、小型車のナンバー1である日産「ノート」の12万8260台を楽々に上回ります。この大人気の「N-BOX」のウリも、室内高1400mmもある空間の広さです。
ある意味、日本は世界有数の室内の広いミニバンが大好きな国といえるでしょう。軽自動車と小型車をあわせて、一番多く売れているのが室内空間の広さを誇る「N-BOX」です。小型車の販売ランキングを見ても、上位20位までにトヨタ「シエンタ」「ヴォクシー」「ノア」、日産「セレナ」、ホンダ「フリード」「ステップワゴン」、それに2列シートですがトヨタ「ルーミー」「タンク」が並びます。自販連の乗用車ブランド通称名別順位の20位までの3分の1ほどがミニバンです。そうした室内の広いクルマの最高級に君臨するのが「アルファード」と「ヴェルファイア」ですから、少々値段が高くても売れるのも当然なのではないでしょうか。
ちなみに、アセアンや中国などでも「アルファード」と「ヴェルファイア」は人気モノです。とくに渋滞がひどく、お金持ちがお抱え運転手を使うインドネシアでは、ミニバンは大人気。日本からインドネシアへの並行輸入には莫大な関税がかかるため、「アルファード」「ヴェルファイア」は日本円で1000万円以上する超高級車扱いですが、それでも数年前にジャカルタの中心街を訪れたときは、数多くの「アルファード」「ヴェルファイア」の並行輸入車を目にすることができました。ショーファーで使う人には、メルセデス・ベンツの高級セダンよりも、室内が広く高級感のある「アルファード」「ヴェルファイア」を選ぶ人がいるというのです。広い室内を求める人にとっては、日本でも世界でも「アルファード」「ヴェルファイア」は大人気というわけです。
「アルファード」「ヴェルファイア」の人気の理由は、「ライバルを圧倒する室内空間の広さ」、そして「室内空間を重視する日本という市場の特性」にあるといえるのではないでしょうか。
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