“あっという間に友達になれる”ブリヂストン新型タイヤ「BATTLAX HYPERSPORT S22」の実力とは

あらゆるシーンで心にゆとりが生まれる“S22”の実力とは?

 テスト会場となったのは、栃木県にあるブリヂストンのテストコース、一般道のワインディングをイメージした1周2キロのドライハンドリング路、散水されウエット路となった1周1キロのウエットハンドリング路がメインステージです。そこでは、S22の性能を感覚的に体験できるよう、前作S21を履いた比較車両と乗り換えながらテストを進めます。

 また、1キロの直線が2本ある1周4キロの高速周回路ではツーリングをイメージして他機種乗り換えテストが行われました。

 まずは、ドライハンドリング路。そこではホンダ「CBR1000RR」、ヤマハ「YZF-R1」、カワサキ「NINJA650」が各2台用意され、S21/S22を履いた同一モデルでの比較。2ラップごとに乗り換えるスタイルのため、少ないラップ数で違いをつかめるか不安でしたが、進化の様子はまさに想像以上。三車種ともS22は非常に印象的でした。

濡れた路面でも前輪の接地面が手に取るように分かるブリヂストンの新作タイヤS22

 S21を履いた車両から乗り換えるとS22は走り出した瞬間からの路面をつかむ接地感が豊富で、直進からカーブへの進入時の挙動が軽快かつ明快。アプローチからバイクを寝かすと前輪に舵角が当たるまでの流れがとてもスムーズで、安心感があり、気持ちよく曲がるので“乗れている!”感にライディングする気持ちが華やぎます。

 しかも接地面の大きさがS21よりも広いイメージで、グリップ感があり、それでいてハンドリングに重みがない。ペースを上げてみても、S21よりもS22のほうがより簡単にコースを攻略でき、ハードなブレーキングを試みても、前輪がしっかりと受け止めてくれる印象です。

 そこから旋回に入るためにマシンを寝かせてもやはり粘りや重さがなく、素直にコーナリングを楽しめることもあり、心にゆとりが生まれます。『なるほど、S22は“あっという間に友達になれる”スポーツラジアルだ』と感じました。

 次にウエットハンドリング路。ドライハンドリング路にも増してコースはタイトで、アップダウンと複合カーブの組み合わせなど、タイヤを鍛えるための試練が盛り込まれたコースであることが分かります。2017年のモデルチェンジからS21が純正採用されたヤマハ「YZF-R6」が比較機種です。

 S21 装着のヤマハ「YZF-R6」で試走を開始。コースの把握に務める中、タイヤのキャラクターも改めて確認します。基本的にはドライでの印象と同様、ただ、不慣れなコース、しかも路面はウエット。減速が遅れ、思ったラインから膨らむなど、寝かせながらのブレーキングをする場面も多く、100キロにも満たない速度でも緊張感が高まります。乗り切れない思いでピットに戻りS22を装着したヤマハ「YZF-R6」に乗り換えます。
 
 これはドライ路でも感じたことですが、ハンドリングが素直でバイクが寝たとき、前輪の接地面が手に取るように分かるので、すぐに安心感に支配されます。三つ目のコーナーからS21装着モデルに乗っている時よりもあきらかに自分のペースが上がります。

 ブレーキングを残して旋回に入っても、しっかりと路面を捉える印象があり、上りから下りにわたる複合カーブすら楽しめる余裕が生まれます。この心境の変化はドライと同様。まるで同じバイクとは思えない違いに驚きます。ラップごとに速度があがり、それなのに楽しさも増す印象です。

ハイグリップでありながら、ノイズも少なく乗り心地にも優れるS22

 高速周回路では、S22を装着したヤマハYZF-R1/MT-09、スズキGSX-R1000R/GSX-S750/ハヤブサ、BMW S1000RRを乗り換えながらテストを行いました。S22で印象的なのは乗り心地の良さ、そしてパタンノイズの少なさです。高速周回路の最大38度にもなるバンクでも安定感がありますし、バンク下にあるフラットなカーブを高速コーナーに見立てて走っても、その安心感、安定感、グリップ感はこれまで体験した通り。実に走りやすいのです。

 結論を言えばS22は走るのが楽しい。曲がるのが嬉しい。ウエット路でも不安がないから疲れない。ととにかくあらゆる場面でライダーがポジティブな気持ちになれるタイヤだったということです。発売は2019年、2月。来シーズンに向け、タイヤのブッキングリストに加えてみてはいかがでしょうか。
 
【了】

ブリヂストン新型タイヤの試乗模様を画像で見る(12枚)

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Writer: 松井勉

1963年生まれ、オートバイ関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行う。海外のオフロードレースへの参戦や試乗テストによるインプレッション記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを日々伝え続けている。

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