雨の日に水しぶきが多い道路と少ない道路は何が違う? 水はけ以外のメリットも
高機能舗装には従来のアスファルトにない隙間があった
高機能舗装の水はけがよい理由について、高速道路を運営しているNEXCO中日本にうかがいました。
──従来のアスファルト舗装と、どのような違いがあるのでしょうか。
通常のアスファルト舗装と比べ、空隙(くうげき)[約20%]を作り、その隙間に雨水をしみこませて排水しています。
──空隙を作り排水をすることで、どのような効果が得られるのでしょうか。
雨水が走行路面にたまりにくいので、水はねや水けむりが少なくなり、視界がよくなります。夜間ではライトが水面に反射することも緩和され、路面標示(レーンマーク)も見やすくなります。
また、雨天時にはスリップ事故の危険がありますが、これはタイヤと路面の間に水の膜ができる「ハイドロプレーニング現象」が原因です。高機能舗装では、雨水が走行路面にたまりにくいので「ハイドロプレーニング現象」が起きにくくなっています。
それとは別に空隙によりタイヤと路面が当たって発生する「走行音」が、通常の舗装に比べ2から4dBほど低減する効果もあります。
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従来のアスファルトは強度を持たせるために密度を高くする必要があったため、雨水が表面にたまり、スリップ事故の原因のひとつになっていましたが、高機能舗装の登場により、高速道路ではスリップ事故などの交通事故が80%も低減したというデータもあるそうです。
晴天時では、従来のアスファルト舗装と見た目ではあまり区別がつかない高性能舗装ですが、雨天になればその効果は大きく、視認性の向上、ハイドロプレーニング現象の防止、タイヤ騒音の低減効果などの機能性を確保し、さらに、耐久性とコストパフォーマンスも追及されているといいます。
近年では、アスファルト舗装が持つ良好な走行性や補修の容易さと、コンクリート舗装の持つ構造的な耐久性など、両者のいいとこ取りをした「コンポジット舗装」も開発され、主にトンネル内や、クルマの通行量がきわめて多い路線の舗装に採用されています。
また、アスファルト舗装は、地域の気候や交通量などで若干異なりますが、おおよそ10年で修繕が必要とされています。なお、コンクリート舗装やコンポジット舗装は20年、一部のコンポジット舗装では40年の耐久性を保つように設計されています。
高機能舗装の導入は1998年から進められており、NEXCO各社では、古くなった路線を従来の舗装から順次高機能舗装へ改修を進めています。
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