時代を超えて愛される名車ヤマハ「SR400」 カスタムのトレンドは「初期型回帰」!?
高年式SRを使って、1970年代当時のスタイルを再現
SRの魅力のひとつに、さまざまなスタイルにカスタムできる懐の深さがあります。シンプルな空冷単気筒エンジンを搭載するこのモデルをベースにしたカスタムとしては、古くは1960年代に欧州でカフェに集まる街道レーサー達から始まったスタイル“カフェレーサー”や、オンロード走行をメインにしつつオフロード走行も意識した“トラッカースタイル”が大流行。
また、エンジンや足周りをチューニングした“ハイパフォーマンス・スタイル”は時代を問わず、多くのSRユーザーに支持されています。また、最近ではハーレーなどで多く見られる“チョッパー”や“ヴィンテージモトクロッサースタイル”も人気。まさに変幻自在、オーナーが描く理想のスタイルに変えられることが、SR人気を支えているのです。
そして最近、SRユーザーの間でトレンドとなっているのが「初期型スタイル」や「70年代ルック」といわれるカスタムです。これは主に2001年式以降の高年式モデルを使って初期型レプリカ、もしくは純正度を高めた70年代風カスタムを作るというもので、基本骨格は同じといえども、モデルチェンジを繰り返すことによって徐々に変わってきた現行SRを「元の姿」に戻そうというのです。
最近流行の「初期型スタイル」や「70年代ルック」のSRカスタムとは?
それまではSRのルックスをがらりと変えるカスタムが人気だったのに対し、初期型スタイルでは、“本来のSRらしくする”のがポイントです。たとえばここに紹介しているSR400は僕の愛車で、2014年式。吸気システムにF.I.を採用した4型です。
一見するとほとんど変わっていないように見えますが、ハンドルバーはカワサキ・マッハ3のレプリカタイプで、アップタイプだけど絶妙な前傾姿勢とすることで、当時のスポーツバイクらしいライディングポジションを再現。
シート周りに関しても表皮とタンデムベルトを変更することでクラシカルイメージを高めた他、70年代の雰囲気を作り出す最大のポイントとして、フロントホイールの19インチ化も行っています。
他にも細かいパーツを初期型や低年式のものに交換することで、「どこからどう見てもSRだけど、なんだか純正よりも重厚な雰囲気が漂う」……そんな印象を与えることに成功しているのです。
年々厳しくなる排ガス規制や音量規制によって、今や自由なカスタムもなかなか難しい時代。しかも現行SRはキャブレターモデルに比べて、燃料タンクの交換やエンジンチューニングにハードルがあります。
だけどやっぱり、SRである以上はカスタムを楽しみたい! というのがオーナーの心情。そこで生まれたのが、SR進化の過程で生まれた“隙間”を埋める「初期型回帰」のカスタムスタイルと言えるでしょう。
【了】
Writer: 佐賀山敏行
カスタムバイク専門誌の編集長を経て、現在はヤマハSR400/500に特化したWEBマガジン「The SR Times」を運営する。自身も現在93年式と14年式の2台のSRを持つフリークだが、基本的にはバイクは何でも好き。