ヴェルファイアに対抗のオラオラ顔へ 三菱「デリカD:5」12年ぶりのビッグチェンジ
多様化するニーズに応えるための大幅改良
新型「デリカD:5」は、旧型モデルに比べて車内にいる際に聞こえる外部からの音が気になりません。さらに、ハンドルが軽くなっているために、旧型モデルのような車体の重さを感じず、走り出しもスムーズな加速をするという印象を受けました。
走行性能や運動性能の改良点について、開発担当者の尾崎氏は、「今回の変更点では、エンジンを低圧縮化などの改良を施すことによって、旧型に比べて静粛性を40%向上。トランスミッションを新開発の8速ATにしたことで、走行性能や静粛性の向上に寄与しています。また、パワーステアリングを油圧式から電動式に変更したことで、より軽くダイレクト感が増しています。そのほか、多少の重量増加にともないサスペンションも改良しました」と説明。
実際に、旧型モデルのオーナーからは、「悪路走破性」に関しては高く評価されている一方で、安全装備、質感、静粛性においては、改善の要望があったそうです。
商品企画担当の渡邉氏は、「三菱の先進安全技術『e-Assist』の採用により新型モデルを『サポカー』に対応したほか、キーロックのわずらわしさを解消する『クローズ&ロック機構』も新たに設定しています。また、『デリカ』は独自のポジションを築いていますが、アウトドア色が強くユーザーを限定しているという一面もあったので、“高級感・オシャレ感・洗練性”を求めるユーザー向けに派生車の『アーバンギア』というモデルも展開します」と話します。
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2006年の登場から約12年という三菱「デリカD:5」。唯一無二のポジションを築けた分、多様化するニーズによる弱点があったそうです。また、最近の売れ筋車種では、日産「セレナ」やトヨタ「ヴォクシー/ヴェルファイア」などのミニバンや、マツダ「CX-8(ディーゼル仕様)」といったSUVモデルの存在が、大幅改良を行う背景にあったと予想できます。
また、「デリカD:5」の電動化について、開発担当者の尾崎氏は、「PHEVの要望があるのは理解しています。しかし、基本設計やバッテリースペースの関係で難しい部分があります。また、いまの『アウトランダー』に搭載しているようなシステムを『デリカD:5』に組み込むと価格面や重量面で合わないこともあり、今回はそこまで踏み込めませんでした。しかし、世の中の流れが電動化に向いているので、継続検討していきたいです」と語りました。
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