トヨタ「国産初の量産ミッドシップ乗用車」が凄かった! 全長3.9mに“パカッと開くライト”&「5速MT」採用! 名車「MR2」がこだわった“使い勝手”とは
座席の後ろにエンジンを載せ、格納式ヘッドライトを備えた初代トヨタ「MR2」。国産初の量産ミッドシップ乗用車として1984年に登場したこのモデルは、走る楽しさに加え、乗り降りのしやすさや荷物の収納にも気を配っていました。
“スポーティコミューター”を目指した! 低いボディに秘めた日常への配慮
1984年6月8日、トヨタは国産初の量産ミッドシップ乗用車「MR2」を発売しました。スポーツカーの印象が強いモデルですが、開発では日常の使い勝手も大切にしていました。
車名は「Midship Runabout 2 Seater」の略です。エンジンを座席と後輪の車軸の間に置き、後輪を駆動する2人乗りの小型車で、前年の東京モーターショーに出展された試作車「SV-3」をもとに生まれました。

ミッドシップは、重いエンジンを車体の中央近くに配置することで、旋回時の動きなどを高めようとするレイアウトです。MR2も、前後の重量配分や低重心を生かした走りを追求しました。
ただ、トヨタの社史では、その開発背景を「スポーティコミューター」という新たな需要への対応と説明しています。米国のGMが「ポンティアック フィエロ」で開拓しようとした市場に呼応したものでした。
走りを楽しみながら、日常の移動にも使えるクルマ。その狙いから、乗り降りのしやすさやシートの高さ、荷物を積むスペースにも配慮したといいます。
発売時の発表でも、運転のしやすさや快適性、静粛性を追求し、セカンドカーとしての利用も想定していました。ミッドシップという特別な構成を、より幅広い人が楽しめるようにしようとしたのです。
外観で目を引くのは、使うときに起き上がるリトラクタブルヘッドライトです。格納時には低いボンネットのラインが際立ち、後ろには垂直に近いリヤウインドウと、シャープなスポイラーを組み合わせていました。
130馬力の1.6リッターを搭載! 後にはスーパーチャージャー仕様も
初代のボディサイズは全長3925mm×全幅1665mm×全高1250mmで、ホイールベースは2320mm。1.6リッターの「Gリミテッド」の5速MT車は、車両重量950kgでした。
エンジンは、FF(前輪駆動)の「カローラ」から流用した1.5リッター直列4気筒SOHCの「3A-LU型」と、1.6リッター直列4気筒DOHC16バルブの「4A-GELU型」です。
1.6リッターは最高出力130PS・最大トルク約149Nmを発揮しました。いずれも当時のグロス値です。トランスミッションは5速MTに加え、4速ATも用意されました。
発売時の東京地区価格は、5速MT車で1.5リッターの「S」が139万5000円、1.6リッターの「G」が164万2000円、Gリミテッドが179万5000円です。消費税導入前の価格で、AT車は別の価格設定でした。
1986年夏のマイナーチェンジでは、1.6リッターDOHCにルーツ式スーパーチャージャーを組み合わせたモデルを追加。最高出力145PS・最大トルク約186Nmを発揮しました。
こちらはネット値での表示です。登場時の130PSとは測定方法が異なるため、数字をそのまま比べることはできません。あわせて、左右のルーフパネルを取り外せるTバールーフ仕様もオプション設定されました。
初代MR2は「1984-1985 日本カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。トヨタの社史によると、フィエロもMR2も、市場ではスポーツカーとして受け止められたといいます。
1989年10月には2代目が登場し、ボディを拡大して2リッターの自然吸気/ターボエンジンを採用しました。1999年には、日本で「MR-S」と名を改めた2人乗りのオープンモデルへとつながり、その生産は2007年7月に終了しています。
近年のトヨタは、ミッドシップ4WDの実験車「GRヤリス M コンセプト」を開発しています。2025年1月に初公開し、同年10月のスーパー耐久・岡山大会で初出走しました。
座席の後ろに積むのは、開発中の2リッター直列4気筒ターボ「G20E型」エンジンです。前輪に集中する負荷を見直し、ドライバーが意図したとおりに操作できるクルマを目指しています。
※ ※ ※
MR2が狙ったのは、走る楽しさを日常の移動にも持ち込むことでした。低いボディやミッドシップに目を奪われますが、乗り降りや荷物の置き場まで考えていたところに、この小さな2シーターの面白さがあります。
















































