千葉の国道で3人死亡 「速度超過」で衝突か… 自動車保険で「同乗者への保険金」は支払われる? 知っておきたい「搭乗者傷害保険」のカバー範囲とは
先日、千葉県内の国道において、乗用車が対向車線へはみ出してトラックと衝突し、同乗していた3人が亡くなる事故が発生しました。原因は速度超過であったとされています。では、運転者に速度超過があった場合でも、同乗者のケガや死亡に対して保険金は支払われるのでしょうか。
同乗者の死傷に備える「搭乗者傷害保険」とは
2026年9月、千葉県内の国道で、10代の男性が運転する乗用車が対向車線にはみ出してトラックと衝突し、同乗していた3人が亡くなる事故がありました。警察は、事故前に制限速度を大幅に上回っていた可能性があるとみて捜査しています。
クルマに乗っている人が事故で死傷した場合に備えるのが「搭乗者傷害保険」です。運転者に速度超過があったとされる事故でも、同乗者に保険金は支払われるのでしょうか。

自動車保険には、事故による運転者や同乗者の死傷に備える「搭乗者傷害保険」や「人身傷害保険」があります。搭乗者傷害保険では、契約しているクルマの運転者本人はもちろん、家族や友人などの同乗者も補償の対象です。
搭乗者傷害保険の特徴は、契約時に決めた金額をもとに保険金が支払われることです。
治療費や休業損害、精神的な損害など、実際に生じた損害額をもとに保険金を算定する「人身傷害保険」とは、保険金の支払われ方が異なります。
たとえばA社の自動車保険では、事故によるケガが原因で事故発生日から180日以内に亡くなった場合、契約した保険金額の全額が「死亡保険金」として支払われます。
人身傷害保険とは別の補償であるため、両方を契約していれば、それぞれから保険金を受け取ることが可能です。
また、搭乗者傷害保険は、相手に損害賠償を求める保険ではないため、基本的に事故の過失割合に左右されません。相手がいない単独事故や、運転者側の過失が100%となる事故でも補償の対象になります。
ただし、保険会社によってはオプションの特約として扱っているため、契約にセットしていなければ使えない点には注意したいところです。
なお、搭乗者傷害保険のみを使用した事故は「ノーカウント事故」として扱われるため、その事故によって翌年の等級が下がることはありません。
では、大幅な速度超過があった場合はどうでしょうか。
結論からいえば、運転者に速度超過があったとしても、それだけを理由に同乗者が補償されなくなるわけではありません。
搭乗者傷害保険の約款には、保険金を支払わない場合(免責事由)が定められています。主なものは次のとおりです。
・被保険者の故意または重大な過失
・無免許運転
・酒気帯び運転
・麻薬などの影響により正常な運転ができないおそれがある状態での運転 など
ポイントは、運転者にこうした免責事由があったからといって、同乗者まで一律に補償されなくなるわけではないことです。
たとえば、運転者が酒気帯び運転をしていた場合、免責となるのは基本的に運転者本人のケガに限られます。同乗者については、その人自身に故意や重大な過失などの免責事由があるかどうかが別に判断されます。
速度超過についても同様です。速度超過があったことが、ただちに保険上の「重大な過失」にあたるわけではありません。過去の判例では、重大な過失について「ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態」などと示されています。
重大な過失にあたるかどうかは、超過した速度の程度だけでなく、道路状況や事故に至るまでの運転状況なども踏まえて個別に判断されます。
そのため、大幅な速度超過が重大な過失と判断され、運転者本人のケガや死亡が補償されなかったとしても、それだけを理由に同乗者のケガや死亡まで補償されなくなるわけではありません。
しかし、搭乗者傷害保険は、契約しているクルマの運転者や同乗者を補償しますが、クルマに乗っていれば必ず補償されるわけではありません。
乗り方やクルマを使用していた経緯によっては、補償の対象外となることがあります。
たとえば、クルマを使用する正当な権利を持つ人の承諾を得ず、無断でクルマを持ち出して運転していた場合などです。
また、補償の対象となるのは、運転席や助手席、後部座席など、クルマの「正規の乗車装置」に乗っている人です。
荷台など本来人が乗ることを想定していない場所に乗っていた場合や、極めて異常かつ危険な方法で乗っていた場合は、対象外となることがあります。
※ ※ ※
搭乗者傷害保険は、契約しているクルマに乗っている人が事故で死傷した場合に、契約時に決めた金額をもとに保険金が支払われる保険です。
運転者が速度超過をしていた事故でも、それだけを理由に同乗者まで補償されなくなるわけではありません。ただし、同乗者自身に故意や重大な過失があった場合や、クルマの使用方法、乗車方法などによっては補償の対象外となることがあります。
搭乗者傷害保険を契約している場合は、補償される人だけでなく、どのような場合に保険金が支払われないのかも確認しておくことが大切です。
Writer: スライカズヤ
損害保険会社で10年間、示談担当者として勤務し、損害査定、自動車修理の協定業務なども担当。初級技術アジャスター、3級ファイナンシャル・プランニング技能士、損害保険事業総合研究所 本科講座修了。現在は自動車・保険分野を中心にライターとして活動中。




































