全長5.3mで「2人乗り」!? トヨタ新型「ハイラックス」に日本未導入仕様! 長さ2.35mの“広大な荷台”&6速MTを備える「シングルキャブ」を現地で見た!
インドネシア・ジャカルタで2026年夏に開催された国際オートショー「GIIAS2026」で展示されていた「ハイラックス」シリーズについて解説します。
日本未導入の「シングルキャブ」も存在
日本では、一時、販売終了となったトヨタのピックアップトラック「ハイラックス」ですが、海外では定番モデルのひとつとして、愛車やビジネスカーとして幅広い活躍を見せています。
海外では異なる仕様や新たな仲間も存在しますが、今回は、インドネシア・ジャカルタで2026年夏に開催された国際オートショー「GIIAS2026」で展示されていたハイラックスシリーズをご紹介します。
かつて日本でもビジネスシーンだけでなく、愛好家も少なくなかったトヨタ「ハイラックス」ですが、日本市場では1997年発売の6代目が2004年に販売を終了。残念ながら、7代目は海外専売車となってしまいましたが、2015年登場の8代目は、2017年に日本市場にも投入され、アウトドアやスポーツを楽しむ人たちにも相棒として愛されるようになり、9代目となる現行型も投入が継続されています。

日本に導入されるのは後席用のドアとスペースを確保し、荷台をコンパクト化したダブルキャブのみとなっていますが、海外では異なるボディタイプも用意され、ビジネスシーンでも広く愛用されています。
取材に訪れたインドネシアでは、今年6月に導入を開始。生産地のタイと比べると、仕様は非常にシンプルです。
パワーユニットの主力となるエンジンは全車共通の2.8リッター直列4気筒DOHCディーゼルターボエンジンで、電動化への取り組みとしてシリーズ初のBEVも同時導入されています。また、現地の仕様は、全車が4WDとなるのも特徴のひとつで、全長は全車共通の5320mmとなります。
ボディタイプは、2席で荷台が広い「シングルキャブ(現地名:シングルキャビン)」と後席付きの「ダブルキャブ(現地名:ダブルキャビン)」を設定。ただ生産地のタイでは選べるシート裏の収納スペースと観音開きドアを持つ「スマートキャブ」は非設定となっています。
シングルキャビンは、モノグレードで、さらに6速MTのパートタイム4WD仕様しか選べません。少し高めの車高とブラックドアミラーなどがワイルドな雰囲気を漂わせますが、非常にシンプルなモデルです。
最大の強みは広い荷台で、荷台幅1575mm×荷台長2350mmが確保できるのは、このシングルキャブだけ。それでも価格は、4億1680万ルピア(約361万円/2026年10月末のレート、以下同)ですから、なかなかのお値段です。
5人乗りが可能なダブルキャビンも全車がパートタイム式4WD車となりますが、トランスミッションは6速MTと6速ATが選択可能です。グレードは、エントリーの「E」と装備を向上した「G」のふたつはMT専用、そしてAT専用となる最上位グレード「V」の計3タイプを用意しています。
特筆すべきは、トランスミッションによるエンジンチューニングの違いがあること。最高出力は全車共通の150kwなのですが、最大トルクはシングルキャブを含め、MT車が420Nmに対して、AT車が500Nmまで引き上げられています。さらにリヤサスペンションもAT車だけが、乗り心地を重視したソフトリーフアクスル仕様となっています。
最上級車のVは、エクステリアのドレスアップを含め、SUV風のオーナーカーを意識していることがうかがえます。機能や装備も、12インチのデジタルメーターパネル、12.3インチのタッチスクリーン、マルチテレインモード、ドライブモードセレクトなど機能の充実化が図られています。価格は、4億6630万ルピア~5億7420万ルピア(約403万円~約497万円)となります。
最後は、シリーズ初となるBEVです。ビジュアル的には、エンジン車にそっくりですが、ルーバーがダミーとなるアッパーフロントグリルや専用デザインアルミホイールなどで差別化。ボディタイプはダブルキャビンのみとなります。
エンジン車同様、ラダーフレーム構造を有しており、59.2kWhの駆動用バッテリーを車両中央に搭載。前後にモーターを配置したフルタイム4WDで、システム出力が144kW。航続距離は最大315kmとされています。
未舗装路や路面の悪い環境が多く、スコールも見られる地域だけに、最大700mmの渡河浸水性能に加え、ボディ下部のバッテリープロテクションカバーも装着。構造面では、リアモーターを搭載しているために、リヤサスペンションがエンジン車のリジット式とは異なり、駆動ユニットをボディ側に固定してサスペンションを動かすドデュオン式に変更されています。
インテリアはエンジン車同様で、シフトレバーが電制式となるのが最も分かりやすい違いで、BEVに必要な多彩な表示機能に対応すべく、メーターパネルもデジタル化されています。
また走りの機能最適化を図るマルチテレインモードとドライブモードも標準化されています。価格は10億1900万ルピア(約882万円)と、他の仕様と2倍前後というビックリするような価格差となっています。
スポーティかつ力強いデザインとなった新型ハイラックスですが、日本では本来の「働くクルマ」として使われることが少ないのが寂しいところ。ただ、日本での道路環境を考えると、軽トラやキャブオーバー型の小型トラックとの使い分けも可能な商品展開がなされているため、仕方ないのかもしれません。そもそも現代のハイラックスは、5000mm越えなので、積載性に優れるシングルキャブでもニーズは限定的なのが現実と思われます。
ぜひアジアなど海外を尋ねた際は、現地で活躍するハイラックスにも目を向けて欲しいと思います。もちろん、日本では、堅牢な4WDで荷台を必要するプロフェッショナルや趣味人に、これからも重宝されていくことでしょう。
Writer: 大音安弘
1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後、フリーランスになり、現在は自動車雑誌やウェブを中心に活動中。主な活動媒体に『ナビカーズ』『オートカーデジタル』『オープナーズ』『日経トレンディネット』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。




















