あおるな危険! 街で見かける「危」「毒」マークを付けたクルマの意味とは
街中で見かける「危」「毒」マークを付けたクルマ。なんとなく危ないものを運んでいるのは予想できますが、実際にはどのような表示意図があるのでしょうか。
「危」「毒」を付けるクルマとは?
街中を運転していると「危」「毒」といったマークがクルマの前後に付いているのを見かけることがあります。これは、一定量以上の発火しやすい危険物、有毒ガスを発生する毒物・劇物、プロパンガスなどの高圧ガスを運搬していることを周囲に知らせるためのものです。
危険物は、火災の危険を防止し、毒物および劇物は保健衛生上の危害を防止するため、高圧ガスは高圧ガスによる災害を防止するためにそれぞれ輸送の方法が法律で決められています。
【危険物(消防法別表より抜粋)】
強い酸化性があるもの、燃えやすいもの、自然に発火するもの、水と接触して発火するものなど以下の種類が該当します。
第一類:塩素酸塩類(酸化性固体)
第二類:赤リン(可燃性固体)
第三類:ナトリウム(自然発火性物質および禁水性物質)
第四類:第一石油類(引火性液体)
【毒物および劇物(毒物及び劇物取締法別表より抜粋)】
毒物および劇物には以下のようなものがあります。塩素、ニトロベンゼン、発煙硫酸、黄リンなどです。
【高圧ガス】
高圧ガスには以下のようなものがあります。酸素ガス、水素ガス、プロパンガスなどです。
(引用:全日本トラック協会)
では、「危」「毒」「高圧ガス」といったマークはどのような基準で取り付けられるのでしょうか。
総務省消防庁の危険物担当者は「危険物を運搬するトラックを『移動タンク貯蔵所』と呼びます。車両に固定されたタンクで危険物を貯蔵・取り扱う施設のことです。『危』の標識は、昭和46年に制定された『危険物の規制に関する規則』にて、0.3平方メートル以上・0.4平方メートル以下の板地を黒色、文字を黄色(反射塗料)とすることが定められています。
また、『毒』や『高圧ガス』の標識については、それぞれ定める法律が異なるためルールが異なります」と話します。
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危険物、毒物、高圧ガスの運搬には、取扱者(監視者)などの資格を持った人が必要です。また、火薬類を運搬するクルマには、赤字に白の反射材で「火」と描かれたマークを表示するなどのルールも存在します。
最近、問題となっている「あおり運転」では、速度が遅いトラックをあおった結果、事故となったケースも。「危」「毒」「高圧ガス」といったマークを付けたトラックが万が一、事故を起こせば大惨事に繋がります。速度が遅いと感じても、あおる行為や進路妨害などの行為は絶対にやめましょう。
【了】