「ノア/ヴォクシー」の“上級兄弟”はなぜ消えた!? トヨタ「エスクァイア」は5ナンバーでも豪華さ満点! 約7年・1代限りで姿を消した「高級ミニバン」とは!
トヨタが2014年に発売した「エスクァイア」は、「ノア/ヴォクシー」の兄弟車として、ワンランク上の高級感を備えたミニバンでした。約7年で生産を終えたこのクルマの特徴と歩みを振り返ります。
トヨタ斬新「“5ナンバー”高級ミニバン」が凄い!
2014年10月、トヨタは新型車「エスクァイア」を発売しました。5ナンバークラスのミニバンにワンランク上の高級感を付与し、高級車の新たな選択肢として開発されたモデルで、トヨタは“新上級コンパクトキャブワゴン”と位置付けていました。
発売から約1か月後の2014年12月時点で、受注台数は月販目標4000台の約5.5倍となる約2万2000台に到達。内訳はガソリン車約8500台、ハイブリッド車約1万3500台で、ハイブリッド車が6割を超えていました。
しかし、エスクァイアは1代限りで、2021年12月に生産を終えています。

ベースは当時の3代目「ノア/ヴォクシー」で、エスクァイアはこれらより約9か月遅れて登場しました。ボディサイズは全長4695mm×全幅1695mm×全高1825-1865mm、ホイールベースは2850mmで、5ナンバー枠に収まるサイズでした。
パワートレインは2種類です。ガソリン車は、最高出力152PS・最大トルク193Nmを発生する2リッターエンジン「3ZR-FAE」に、Super CVT-iを組み合わせていました。
ハイブリッド車は1.8リッターエンジン「2ZR-FXE」を使ったシステムで、システム最高出力は136PSです。
ハイブリッド車のJC08モード燃費は23.8km/Lで、トヨタは全高1.8m以上・排気量1.8?2リッターの7/8人乗りミニバンにおいて、2014年10月時点でクラストップレベルとしていました。
駆動方式はFF(前輪駆動)のほか、2リッターモデルには4WDも設定されていました。
車名のエスクァイアは、英語で“様”“殿”などにあたる男性への敬称で、語源は中世ヨーロッパの“従騎士”です。
フロントのシンボルマークは、従騎士の盾と矛のほか、紳士のスーツ姿の襟元、さらに略称“Esq”の文字をモチーフにデザインされました。
TV-CMなどの広告キャラクターには「バットマン」が起用されました。発表会にも、ゲストの吉川晃司さんのほかに、そのバットマンも登場しています。
フロントには、バンパー下部まで伸びる縦基調のメッキグリルを採用。上級グレード「Gi」は、夏に熱くなく、冬は冷たく感じにくい昇温降温抑制機能付の合成皮革をシート表皮の全面に使い、内装色にはバーガンディを設定していました。
当時のトヨタは販売チャネル制を採用しており、エスクァイアは「クラウン」などを扱うトヨタ店と、「マークX」などを扱うトヨペット店で販売されました。
発売時の価格(消費税込)は、ガソリン車「Xi」8人乗り(FF)の259万2000円から、ハイブリッド車「Gi」の320万4000円まででした。
2016年1月には、「トヨタセーフティセンスC」を全車に標準装備するとともに、特別仕様車「Gi Black-Tailored(ブラックテーラード)」を設定しました。
2017年7月のマイナーチェンジでは、Bi-Beam LEDヘッドランプを採用し、フロントグリルの横幅を拡大。同時に、ブランノーブに合成皮革を組み合わせた専用シート表皮を持つ最上級パッケージ「Gi Premium Package(プレミアムパッケージ)」が加わりました。このときの月販目標台数は2300台です。
2019年1月には、プリクラッシュセーフティで昼間の歩行者も検知対象に加えた「トヨタセーフティセンス」を採用。あわせて、外装の随所に黒を基調としたスモークメッキを採用した特別仕様車「Gi プレミアムパッケージ・ブラックテーラード」も設定されました。
2021年9月、トヨタはエスクァイアの生産を同年12月上旬に終了すると告知します。2022年1月には4代目となる新型ノア/ヴォクシーが発売されましたが、エスクァイアの新型は登場していません。
生産終了の理由について、当時トヨタ広報部は「お客さまのニーズや、すべてのチャネルでの併売化などを総合的に勘案し、シリーズラインナップの見直しを図りました」と説明しています。
なおトヨタは2020年5月から、すべての販売店で全車種を取り扱う体制に移行していました。
4代目となった現行ヴォクシーについて、あるトヨタの販売店は、上位グレードでかつてのエスクァイアの立ち位置を補えているのではないかと話しています。
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“従騎士”に由来する車名とシンボルマークを掲げ、バットマンを起用した広告で送り出されたエスクァイア。
トヨタ店とトヨペット店の上級ミニバンとして登場し、全販売店での全車種併売化を経て、約7年で1代限りの歴史に幕を下ろしましたが、いまなおSNSなどでは高級なミドルクラスミニバンを求める声も散見され、根強い支持を集め続けています。
Writer: 佐藤 亨
自動車・交通分野を専門とするフリーライター。自動車系Webメディア編集部での長年の経験と豊富な知識を生かし、幅広いテーマをわかりやすく記事化する。趣味は全国各地のグルメ巡りと、猫を愛でること。

































