e-DRAGを担当した加藤さんは、次のように話します。

「e-DRAGのパワートレーンはほぼノーマルのままですが、まず最初にクルマの仕様決めなどの作り込みをメインに考えました。

　まずは、軽量化を重点的に行い、エクステリアでは可能な限りカーボン化をし、ウインドウはアクリルに変更するなど仕様変更を徹底して制作しています。

　また、インテリアで取れるものはすべて取り払いました。さらに、ドラッグレースに必要な専用タイヤやロールバー、軽量なバケットシートの選択もし、サスペンション周りなどにも徹底的に手が入っています。」

　K-CLIMBを担当した高橋さんは、次のようにコメントしています。

「いつもデザイン部が手掛けるショーカーは、やりすぎるんです。お客さんが真似できないようなことをやってしまう。

　だから今回は、カスタマイズ好きのお客様でも真似したくなるような範囲でというのを心がけました。それでも、少しやり過ぎた部分もありますが・・・。控え目にデザインしました。

　実現性のありそうなレベルで提案できればいいかなというなかで、隈が『シティ ブルドック』をオマージュしてみては？ と意見を出してくれ、その要素を入れつつ非対称なデザインにしました。オーバーフェンダーなどは、少し実現性が低いものになってしまいましたが、シティ ブルドックのイメージを踏襲した造形にしています。

　ボディラッピングにも簡易改造と書いてありますが、その言葉のとおり少し抑えめにデザインした感じです。内装についても、ロールゲージと4点シートベルトを入れただけで、ほとんど手は入れていません」

　今回実車が公開された2台の企画がスタートした原点は、オートサロンに展示するためだけでなく、キチンと走らせることのできるレース仕様のコンセプトモデルを作りたいという気持ちからです。

　そして、ホンダアクセスだからこそできる本気カスタムが施された、ドラッグレース仕様のe-DRAGと、ユーザーが気軽に真似することができるだけでなく、意のままに操れて、しっかりと曲がれるヒルクライムレース仕様のK-CLIMBが誕生することになりました。

　撮影会では、まだe-DRAGの電源を入れることは許されませんでしたが、テスト走行をおこなったK-CLIMBの走りは軽快そのものでした。

　街で頻繁に見かけるN-ONEが多くのカーボンパーツで軽量化され、レーシーでありつつも親しみあるフロントマスクのデザインはそのままという親近感により、モータースポーツを少し身近に感じることができました。

　車両の完成予定は2021年4月ごろ。完成後は各レースイベントへの参加を見据え、ドラッグレースやヒルクライムレースでの、エキシビション走行や実際のレースへの参戦を予定しているそうです。

　そして近い将来モデューロブランドとして、それらのレースで培った技術をフィードバックして純正アクセサリーの可能性を拡げていきたいなど、開発担当者たちの夢はまだまだ成長し続けています。

　バーチャルオートサロンでの初公開から、約2か月半後の実車公開。次は、レースイベントでのエキシビション走行を実現予定など、e-DRAGとK-CLIMBは、自分たちの定めた「オモシロクなきゃ」のキャッチコピーを最前線で体現する、ホンダアクセスのこれからがさらに楽しみに感じる2台となっていました。

［Text：先川知香　Photo：土屋勇人］

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