ヤマハは2025年11月19日、市販予定の新型スクーターとして「JOG E（ジョグイー）」を発表しました。

　このモデルは、50cc以下の原付バイクに対する環境規制の厳格化を背景に、市場の新スタンダードを目指して企画された電動スクーターです。

　同年12月22日より東京・大阪の地域限定で先行発売が予定されており、SNSなどでも大きく話題となっています。

　新型ジョグイーの最も革新的な点は、動力用電源に、ホンダが開発した交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」を、ヤマハの二輪車として初めて採用したことです。

　これは、2024年8月にホンダとヤマハが共通仕様の交換式バッテリーを用いる車両のOEM供給に合意したことによるもので、ジョグイーはその記念すべき第1号。

　製造はホンダが担当し、中国で生産されるという、メーカーの垣根を超えたアライアンスの成果です。

　また同時に、ヤマハが掲げる「2050年までに製品使用による排出量のカーボンニュートラルを実現する」という環境目標に向けた取り組みの一環であり、電動化とシェアリングサービスを組み合わせることで、変化する市場ニーズと環境規制への対応を図っています。

　そんな新型ジョグイーは、ストップ＆ゴーが多い街中での移動に最適化された走行性能を備えています。

　後輪にはコンパクトなインホイールモーターを採用し、1充電あたりの走行距離は30km／h定地走行で53kmを実現。

　そしてこの航続距離を補完するのが、「Gachaco（ガチャコ）」が提供するバッテリーシェアリングサービスです。

　このサービスを利用することで、ライダーは充電を待つ時間なくバッテリー交換が可能となり、日常利用における利便性が大幅に向上します。

　ただし、今回は車体のみの販売となるため、利用にはGachacoとの有償契約が必須。

　現在のGachacoステーション設置エリア（東京都、埼玉県、大阪府）内の取扱店に販売が限定されます。

　ただし2026年後半には、バッテリーと充電器をセットにした通常販売も計画されています。

　装備面では、日常使いを考慮した充実した機能が搭載され、前後連動ブレーキシステムやLEDランプ類、視認性の高いフルデジタルメーターを採用。

　特筆すべきは、交換式バッテリーを搭載しながらも、小物収納が可能なシート下スペースを確保している点です。

　さらに、USB Type-A端子対応の充電ソケット付きフロントポケットも備え、使い勝手が追求されています。

　デザインは、ヤマハが長年培ってきた普遍的なスタイリング要素とEVとしての先進性を融合。

　流れるようなサイドラインといった歴代スクーターの「人機官能」を意識したデザインに、リアのデカールなどで表現されるジオメトリックな先進性が組み合わされています。

　車両価格（消費税込）は15万9500円と、中古の原付スクーターが高騰する現代において、新車としては極めて手頃な設定です。

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　このような新型ジョグイーについて、SNSなどでは、「バッテリーシェア契約が必須なことを考えても安い！」「『E-Vino』が31万円であることを考えると15万円代に抑えたのは驚き」といった声が上がっています。

　また、「バッテリーの劣化を気にする必要がない」という交換式バッテリー最大のメリットも、ユーザーの評価を集めている様子。

　その一方で、「Gachaco取扱店が無い地方では使えなさそう…」「インフラ整備が進めば魅力的」「GSやコンビニにも交換用バッテリーを置かせてもらえば良さそう」「台湾にある同様の仕組みのスクーターは完全に普及してるんだけどね」といった、インフラの整備状況に依存する点が課題として指摘されています。

　しかし、「チョイノリに最高じゃん！」「原付の代わりはこういうので良いんだよ」「街のコミューターは静かでトルクのあるモーター駆動があっている」という期待の声も大きく、新型ジョグイーの登場は、日本の二輪市場における電動化とシェアリングの新しいスタンダードを確立する試金石として、その動向に注目が集まります。