ジムニーの概念を変え20年 無骨なイメージを敢えて消した3代目の凄さとは

1998年に登場した3代目ジムニーは、初代や2代目とはまるで異なるスタイリングで登場し、ユーザーを驚かせました。JB23型ジムニーは、フォルムは丸みを帯びて無骨なイメージを敢えて消しました。

丸みを帯び、大きく変わったスタイリングで驚かせた3代目

 1998年に登場した3代目ジムニーは、初代や2代目とはまるで異なるスタイリングで登場し、ユーザーを驚かせました。90年代後半には四輪駆動車という言葉自体が消え、代わりにSUV(スポーツ・ユーティリティ・ヴィークル)というワードに取って代わられていました。

ジムニー ランドベンチャー

 燃費やイージードライブという性能が四輪駆動車にも求められ始め、スタイリングでもステーションワゴンやミニバン的な意匠が積極的に取り入れられていった頃です。

 3代目のJB23型ジムニーは、そうした市場の動きを呼んでデザインされたため、フォルムは丸みを帯びて、それまでの無骨なイメージを敢えて消していました。

 世の中のSUVが軽量なフレームインモノコックボディを採用し、サスペンションも四輪独立懸架式を採用する中で、あえて堅牢性の高いラダーフレームボディとリジッドアクスル式3リンクサスペンションを踏襲。それゆえ、登場時は「リアル4×4スポーツ」をキャッチコピーで謳い、ライトSUVではないことを強調していたのです。

 ただし形式は踏襲したとは言え、そこは21世紀に向けて発売されたモデル。衝撃吸収性のあるラダーフレームや新しいジオメトリーを与えられたサスペンションは、2代目とはまるで異なる運動性能と快適性を提供していました。

 また3代目より副変速機(トランスファー)の操作が、レバー式からスイッチ式に変更。ボタン操作だけで「2WD⇔4WD」、「4WD H⇔4WD L」の切り替えができるようになりました。この操作はメカに対する理解度が必要で、必ずしもイージーとはいかない部分があったのも事実です。

 3代目でおもしろいのは、軽自動車版に先駆けて1.3リッター直4DOHCエンジンを積んだ小型車版のJB33型ジムニーワイドが1998年1月に登場していたこと。これは1998年10月に軽自動車規格が変更されたため、新規格で作っていたJB23型が発表を待たなければならなかったからです。

20年経っても世界各国から需要があった3代目ジムニー

 ジムニーワイドは2000年に排気量をアップした新エンジンを搭載してJB43型になりましたが、この時にジムニーシエラの名前が復活しています。

ジムニーシエラ インパネ

 3代目は歴代の中でも、もっとも長期間売られたモデル。20年間という、通常の車種なら4回は新型を出しているだろう年月の中で、基本的には同じモデルで通しました。ですが、細部の仕様変更は何度も行われており、計9回のマイナーチェンジを実施。動力性能や安全性能はもちろんのこと、メーターのデザインや細部の使い勝手なども随時見直されていました。

 JB23型/43型は20年を経過しても各国で需要があり、2017年の年間販売台数は国内で約1000台、海外まで含めると約5000台だったというから驚きです。

 しかし、2018年に義務化された横滑り防止装置、歩行者脚部保護性能強化への対応から、ついに生産終了へ。シリーズ累計約33万台(国内)という大記録を打ち立てて、その歴史に幕を閉じました。

【了】

歴代で最も長期間販売されていた3代目ジムニーを写真で見る(20枚)

まさか自分のクルマが… 高級外車のような超高音質にできるとっておきの方法を見る!

画像ギャラリー

Writer: 山崎友貴

自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

最新記事

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー