「もう特別なクルマ」ではない!? トヨタが9年ぶりに復活させた新型「クロカンSUV」登場! なぜ一般人気高まった? ナナマルが認知されたワケ

トヨタ新型「ランドクルーザー70」が2023年11月29日に発売されました。これまでのランクル70は玄人向けでしたが、新型モデルでは新規ユーザー層に大きく認知されています。どのような要因があるのでしょうか。

新型ランクル70はなぜ一般にウケたのか

 2023年11月29日に発売され、熱視線を集めているのがトヨタ新型「ランドクルーザー70(以下70系)」です。
 
 9年ぶりに販売された70系は、歴代モデルと変わらない“ヘビーデューティ4WD”というカテゴリーですが、革新的な多くのものを取り入れたことで、新規ユーザー層に大きくアピールしています。

新型ランクル70はなぜ一般にウケたのか
新型ランクル70はなぜ一般にウケたのか

 70系は40系の後継車として1984年に発売されましたが、発売当初は実用車として登場したため、購入する人は一部のファンか、その実用性を必要とするユーザーでした。

 1980年代に入って“ヨンクブーム”になってからは多くの人に注目されましたが、4ナンバーや1ナンバーであったことが障壁となり、5ナンバー、3ナンバーモデルを持っていた三菱「パジェロ」やいすゞ「ビッグホーン」ほど台数を伸ばすことができませんでした。

 その後、ヨンクブームが去り、日本に排ガス規制のNOx・PM法が施行されると、トヨタはその対策ができなくなります。

 結果、70系はファンに惜しまれながらも、日本市場から姿を消すことになりました。しかし、2014年には1年の期間限定で「30周年記念モデル」が復活。バンとピックアップトラックの2タイプが販売され、たちまち“完売状態”になります。

 しかし、ここでも1ナンバーという障壁がユーザーの前に立ちはだかっていました。1ナンバー車は税制面でメリットがあるものの、1年ごとの車検、高速料金の負担増ということがあり、一般ユーザーには敷居が高くなります。

 その上、後部座席が商用タイプであることから、決して快適と言えない部分も考えさせられるポイントでした。MT車のみの設定だったことも、“特別なクルマ”になってしまった要因のひとつでした。

 周知の通り、新型70系はその歴史上初の3ナンバーワゴン化。しかもATを採用したことで、一気にユーザーの裾野を広げたのです。特にユーザーが好意的に受け取ったのが、後部座席の快適性アップとATの採用です。

 多くのユーザーは愛車を家族の同意のもとで選ぶため、奥様が運転できないクルマの購入になかなかOKが出ないケースが多かったと言います。

 ちなみに、スズキ「ジムニー」は後部座席へのアプローチが良くないために、首を縦に振らない家族が多いとも聞かれます。

 後部座席はリクライニングが可能となり、シート形状もバンと一線を画す快適なものになっています。もちろんタンブル機能が付いていますので、車内後部をラゲッジスペースとして使う場合の実用性も十分。レジャー派も納得の室内に仕上がっています。

 新型70はワゴン化したことで、乗り心地の改善も行いました。

 リアは現代のクルマでは希少なリーフスプリングを使っていますが、この形式のサスペンションは、どうしても硬い乗り心地になってしまうことが。30周年記念モデルも“乗り心地が硬い”というユーザーの声が多かったのが印象的です。

 そこで新型70系はソフトなバネレートのリーフスプリングを採用。トヨタ車体社員でラリードライバーの三浦昴さんは公式動画内にて、その乗り心地の良さとよく動くサスペンションを絶賛していました。

 また様々な電子デバイスの採用も、70系というクルマの敷居を低くしたのではないでしょうか。

 例えば、「VSC&アクティブトラクションコントロール」。ひと昔前なら、“クロスカントリーテクニックや知識がない人間はナナマルに乗るな”と言われたものですが、この機能があれば、タイヤの空転や対角線スタックなど関係ありません。

 とにかくアクセルペダルを踏めば、クルマが前進するよう自動制御するからです。こうした電子デバイスが採用されたのも、AT化の恩恵と言えるでしょう。

 さらに酷い状態に道に入り込んでスタックに陥った時は、最強のオフロード機能である前後デフロックがあるので安心です。

 もちろんオフロードは横転の危険もあるため知識なしで走るのは問題ですが、従来の70系なら特殊な技術を要した道でも、誰でも容易に走れるようになったことは注目すべきポイントです。

 加えて、新型70系は安全装備も大幅に充実しています。このモデルより「トヨタ・セーフティ・センス」が採用され、プリクラッシュセーフティ機能など装備されました。

 アダプティブオートクルーズが付かなかったのは残念ですが、それにより500万円以内のプライスで収まったことを考えれば納得できます。

 改めて新型70系を俯瞰すると、実用性一辺倒、質実剛健だったナナマルは、かなり一般ユーザーに近づいたクルマとなりました。

 それでいてナナマルらしさは失われてはおらず、外観のスタイリング、内装の無骨なデザインは従来型を限りなく踏襲しています。いわゆるSUVとは明らかに違う雰囲気を持っており、そんな所がジムニー同様に新しい層のユーザーを惹きつけているのではないでしょうか。

 残念なことに、すでに新型70系の新規受注は実質ストップ状態になっていますが、今回は限定車ではなくカタログモデルなりましたので、気長に待っていればいずれ買えるというのは福音です。

「MTが欲しい!」というネット上のコメントも見ますが、300系やこれから登場する250系のことも考えると、ランドクルーザーというモデル自体が、「誰もがイージーにドライブできて、生きて帰ってこられるクルマ」になったのかもしれません。

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1件のコメント

  1. 流行に左右されない硬派の4輪駆動愛用者が、昔から一定の人数が居るから需要があるだけで人気がというと少し大げさだと思う。私も60に15年乗っていましたが、排ガスでやむなく手放しました。今でも手放したこと悔やんでますが、癖のある60,もう乗れる歳でもなくなった。若い年代が楽しんでください

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