なぜ「ミニバン人気」地域で異なる? 「アルファード」はアジアから拡大!? 北米&欧州でミニバンほぼ見ないワケ
日本では定番ジャンルとなる「ミニバン」。アジアでも「MPV」として定着していますが、欧州や北米ではほぼラインナップされていません。なぜなのでしょうか。
ミニバンの起源は日本ではなかった?
「ミニバン大国」と呼ばれることのある日本では、新車販売台数ランキングの上位に多くのミニバンが名を連ねています。
一方、北米や米国では、日本ほど多くのミニバンを見ることができません。その背景には、どんな事情があるのでしょうか。
日本はしばしば「ミニバン大国」と呼ばれます。
実際、2022年の新車販売台数ランキングを見ると、トヨタ「ノア/ヴォクシー」、ホンダ「ステップワゴン」、日産「セレナ」といったミドルクラスのミニバンや、トヨタ「シエンタ」やホンダ「フリード」といったコンパクトミニバン、そして、「キング・オブ・ミニバン」と称されるトヨタ「アルファード」の名前を見ることができます。
一方のアジアでも、以前からミニバン(MPV)文化は浸透しており、ノア/ヴォクシー、シエンタ、オデッセイなど日本でも馴染みのあるラインナップが見られます。
その他、トヨタ「アバンザ/ヴェロズ」、「イノーバ」やダイハツ「セニア」、ホンダ「モビリオ」、日産「リヴィナ」、三菱「エクスパンダー」などアジア諸国向けのヒンジ式ミニバンを多く展開してきました。
また近年では、いわゆる高級ミニバン市場が盛り上がりを見せています。
その立役者となっているのがアルファード/ヴェルファイアです。2015年に登場した3代目アルファードは、輸出業者によって東南アジアや中東、欧州などへと流れるケースも見られ、国内相場の上昇の一員となっています。
また、中国を始めとするアジアではアルファードをベースとしたレクサス「LM」が2020年より販売されており、2023年4月には2代目へと生まれ変わっています。
このアルファード/ヴェルファイア人気により、現地の中国メーカーをはじめ欧州・北米など様々なメーカーが中国向けに新たなミニバンを投入するなど、これからのミニバンは「快適に移動する」手段のひとつとして発展を遂げそうです。
しかしながら、北米や欧州の道路を見ると、日本ほど多くのミニバンは走っていません。それどころか、ラインナップのなかにミニバンがほとんどないことがわかります。
一例として、アメリカとヨーロッパ(ドイツ)におけるトヨタのラインナップを見ると、スライドドアと3列シートを兼ね備えた乗用車としてのミニバンは、アメリカでは「シエナ」がありますが、ドイツでは商用車ベースの乗用仕様となる「プロエースヴァーソ」や「プロエースシティヴァーソ」が存在するのみです。
なぜ、欧州や北米などではミニバンが人気とならなかったのでしょうか。
ミニバンの歴史をひもとくと、意外にもその起源は1980年代の米国にあったことがわかります。
当時、米国の自動車メーカーであるクライスラーでは、FFプラットフォームの開発を進めており、それが採用されたはじめてのバンが、1983年に発売されたダッジ「キャラバン」でした。
キャラバンは、FFプラットフォームを採用したことで当時のバンとしては比較的コンパクトなボディを実現し、それでいた従来のバンと同等の7名乗車を可能としていました。
キャラバンの成功をうけて、シボレー「アストロ」をはじめとするFFプラットフォームのバンが多く登場することになりますが、これらは「フルサイズバン」と呼ばれる従来のバンよりもひと回り小さかったために、「ミニバン」と呼ばれるようになったという背景があります。
日本では1990年に登場したトヨタ「エスティマ」が、現代的なミニバンの元祖と言われます。
それまでにも多人数乗車が可能なバンは存在していましたが、商用車のプラットフォームを転用したものがほとんどでした。
一方、エスティマはほとんどを専用開発するなど、当時としては異例のモデルでした。
その後、日産「エルグランド」によって高級ミニバンというカテゴリーがうまれたほか、ホンダ「オデッセイ」のようなスポーティなミニバンも登場し、ミニバンは百花繚乱の時代を迎えることになります。
ただ、これらの多種多様なミニバンのほとんどは、アメリカやヨーロッパでは販売されることはありませんでした。
そこには、クルマに対する考え方の違いなどが深く関係しているようです。
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