ホンダが新「オデッセイ」を初公開! 2年ぶり日本復活で「中国生産車」に! 姉妹車「エリシオン」も存在する中国での立ち位置は?

オデッセイは、中国でどのようなカタチで受け入れられているのか?

 ですが、2023年4月にホンダは5代目オデッセイを再び日本に投入すると発表しました。

 発売は2023年冬とのことですが、一番の驚きはこのモデルが中国で生産されるという点でしょう。

 生産を行うのはホンダと広州汽車の合弁会社「広汽ホンダ」の「増城工場」です。

 この工場は2006年9月に広汽ホンダ2番目の工場として誕生し、年間24万台の生産能力を有します。

 中国向けオデッセイのみならず、アコードやアヴァンシア、アキュラ CDX、アキュラ RDXも生産しています。

 ホンダは以前よりたびたび海外工場製モデルを日本に輸入して販売しており、その中には北米製のラグレイトやアコードクーペ、セイバー、NSX、そしてイギリス製のシビックなどが該当し、最近では先代アコードがタイ製となっていました。

 ですが、今まで中国製モデルを逆輸入する形で販売したことはなく、今回のオデッセイがはじめての事例となります。

中国ではオデッセイの姉妹車として東風ホンダから「エリシオン」が販売されている
中国ではオデッセイの姉妹車として東風ホンダから「エリシオン」が販売されている

 オデッセイは中国で安定した売れ行きを記録しています。

 中国では競合相手の少ない「中型MPV」のカテゴリに属し、東風汽車との合弁会社「東風ホンダ」が製造・販売する姉妹車の「エリシオン」とともにカテゴリトップのシェアを誇ります。

 2022年通年の販売台数はオデッセイが4万4586台、エリシオンが4万28台となっており、その数を合計すると、中国ブランドが手がける上位ブランドの売れ筋車種も超える勢いとなります。

 とはいえ、ミニバン全体で見ると「大型MPV」のトヨタ シエナやトランプチ M8、ビュイック GL8、そしてデンザ D9など、全長5m超の車種がランキング上位を独占。

 それらに対してオデッセイは若干小さいため、大型ミニバン需要には対応できていません。

 また、オデッセイは現時点でガソリンモデルとハイブリッドモデルのみとなります。

 中国はまだ完全な「EV一辺倒」とはなっていないものの、プラグインハイブリッド(PHEV)に対する消費者の購買意欲は徐々に高くなっており、それに応えるモデルをオデッセイに設定することがカギとなるでしょう。

 中国向けオデッセイは2021年に久々のマイナーチェンジを行い、外装の刷新、そして中国の購買層が特に重視する「インフォテインメントシステム」における大幅な改良を施しました。

 それによって販売は一時的に増進したものの、抜本的な売れ行きとまでは言えない状況です。

 2013年より販売しているモデルでマイナーチェンジを何度も繰り返し、小規模ながらも販売を回復させるのでは、市場からの反応も冷ややかになる一方となり、競争力をつけるためには早急なフルモデルチェンジ、もしくは北米向けオデッセイの投入などが必要と言えるかもしれません。

 オデッセイの特徴とも言える「フルフラットになる3列目シート」などは競合車種にない機能として中国でも高く評価されており、それを含めてどうプレゼンスを発揮していくが重要となります。

 日本市場に限った話で言えば、生産終了からのブランクを経て復活するほどですから、それなりに販売を望む声があったと予想できます。

 ボディサイズも日本の環境に適していますし、新たに設定される「BLACK EDITION」はオデッセイに新たな風を吹かせることでしょう。

 なお日本市場において、複数のホンダ販売店では「再導入に関する問合せが多く来ている」、「詳細を知りたいという問合せが発表後来ている」という声が寄せられているといいます。

 数多くの新装備とともに満を持して日本市場復活を遂げるオデッセイの今後に注目です。

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Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト

下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。

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